現金決済派とカード決済が激しく言い争っている様子をネット上でよく見かけると思います。15年ほど前には見られてなかった光景なので、筆者はこの状況を嬉しく思っています。というのは、カード決済もやっと現金決済派の方と話をできるほどまで市民権を得られたと実感できたからです。
カード決済派の筆者から言わせてもらうと現金決済派の方は議論の途中で感情的になることが多いような気がします。「現金決済は損をする」なんて言われると自分のことまでも否定された気分になるので激昂する気持ちはわからなくないですが、一度、カード決済が身につくと現金決済をメインにすることは二度と考えなくなるほどカード決済にはメリットが多いことに気付かされます。
とはいえ、現金決済もカード決済も一長一短あることは否定しません。そこで今回は現金決済とカード決済のトラブル事例を検証し、両者にどれほどの違いがあるのかを見てみたいと思います。非常に興味深い結果となりましたので、ぜひ最後までご覧になってみてください。
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現金決済のトラブル事例
まずは現金決済のトラブル事例について見てみましょう。現金決済はトラブルが少ないと思われがちですが、実はそんなことはありません。むしろ、多いと筆者は感じています。皆さんも過去に当てはまることがなかったか、一緒に確認していきましょう。
紛失
現金決済をメインにしている方にとって最も多いトラブルは「紛失」ではないでしょうか。生涯で財布を紛失した経験がある方のほうが紛失したことがない方よりも多いはずです。紛失とまではいかないまでも、財布が見つからずに焦った経験をしたことは誰にでもあるはずです。
そして、財布を紛失して最も困るのは、財布が見つからないどころか現金までも紛失してしまうことでしょう。財布は無事に返ってきたが、中身が抜かれて現金が返ってこなかった、なんて経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
現金決済をメインにしている方は財布の中に常に多額の紙幣を入れている傾向があるため、財布を紛失して返ってこないと大きなダメージを受けることになります。
現金を盗んだ犯人がわかれば訴えることは可能ですが、盗む犯人もバレないようにするわけですから、紛失した財布の中に入っている現金はそう簡単に返ってこないと思ったほうがいいです。
そして、現金は紛失した際に誰かが補償してくれるわけでもないので、紛失時に大きなダメージを受けるのが現金決済の最も大きなデメリットとなってきます。だからといって少額しか財布に入れていないといざというときに足りなくなったり、銀行に出向く機会が増えたりとそれはそれで面倒です。
偽札
これは特に事業者にとって大きな問題となってきます。
紙幣はそれぞれの時代にあわせ、特に日本では20年前後で新しい紙幣に変わるものとなっていて、そのたびに偽造されにくい紙幣が発行されていますが、それでも偽札は少なからず出回っています。
そして、偽札の被害を受けるのは大抵が事業者です。何気なく受け取った紙幣を後で調べてみたら偽札だとわかった、という事例は少なくありません。
偽札を掴まされ、それを間違ってお客様に渡してしまったらどうなるでしょうか。偽札を掴まされた側は被害者でもあるわけですが、それを人に渡すことで罰金や科料が課せられる可能性があるため、事業者は非常に気を使わなければならない問題となってきます。
ただ単にコピーしただけの紙幣であれば、私たち素人でも簡単に気付けるでしょう。しかしながら、精巧に作られた偽札だと触っただけでは気づけないことが多いです。そうなると、誰しもが偽札を掴まされる危険性があるわけですから、事業者だけでなく消費者も気をつけたい問題です。
明確な規定こそありませんが、偽札を受け取った側は警察に報告する必要が出てきますし、事業者としては会計にも間違いが出るので正す必要があり、偽札を掴まされるとかなり面倒なことに巻き込まれてしまいます。
対して、クレジットカード決済なら紙幣を扱う必要がなくなるため、偽札を使った犯罪に巻き込まれる心配がなくなります。だからこそ、偽札が多く出回っている諸外国ではクレジットカード決済は信用取引として広まっているのです。
水没による受け取り拒否
ゲリラ豪雨で財布が濡れてしまい紙幣まで濡れてしまった、なんて経験をしたことがある方はいると思います。かくいう筆者も似たような被害に遭ったことがあります。
紙幣は濡れてしまうと正常に使えないことがあります。その最たるシーンは自動販売機でしょう。自動販売機は濡れたお札を受け付けてくれませんので、乾かしてから使う必要があります。
海水浴場の海の家なんかでは、消費者の紙幣が濡れてしまうことは想定できるはずですが、それでも濡れた紙幣は受け取りを拒否されることが多いです。実はこれは、銀行のATMが濡れた紙幣を受け付けてくれないことが理由となっています。
お店によっては売上金を銀行のATMに預け入れると思いますが、銀行ATMは自動販売機と同様に濡れた紙幣を受け付けてくれないため、濡れた紙幣はお断りすることが慣例となっているのです。
ATMが濡れた紙幣を受け付けてくれない理由は単純で、機械が壊れてしまう可能性があるからです。万人が使うものですから、それを壊すわけにはいかないのです。ATMは一台500〜800万円すると言われているので、当然の対応といえるかもしれません。
では、乾かせばなんとかなるのか、というと実はそうもいかないのです。濡れた紙幣を乾かして銀行のATMに預け入れようとした結果、拒否されてしまったという事例はとても多いので、乾かすだけではダメです。
しかしながら、濡れたところで紙幣としての価値が失われたわけではありません。銀行の窓口に相談すれば新しいお札に交換してくれます。もちろん、そのまま口座に預け入れることも可能です。お店側はそういった手間すら省きたいですし、偽札の可能性もあるので、濡れた紙幣は基本的に受け付けてくれないわけですね。
お札の認識違いによる釣り銭間違い
経験のない方もいるかもしれませんが、経験したことがある方は意外と多いでしょうし、未遂で終わったことがある方も多いでしょうから、詳しくお話していきます。
どのお店にも言えることですが、現金で決済したときに1万円札と5千円札を間違う店員さんが稀にいます。例えば、3,000円の買い物をして1万円を出したのに、店員さんが5千円札と勘違いしてお釣りが2,000円しか返ってこなかったという事例はよく起こります。
気が散っていると、お釣りの間違いに気づけないことがあるので注意しなければなりません。普段から現金決済をメインにしている方ほど「そんなこと起こらないだろう」と安心して注意力散漫になっている可能性が高いので注意が必要です。
会計が間違っていたのにその場では気づけなかった場合、あとで言ったところで店員さんに信じてもらえなかったりすることもあるので、高額紙幣を使うときは特に慎重にならなければなりません。
このようなミスが起こらないようにお札を自動で認識するレジを導入する店舗は増えてきていますが、すべての店舗が高機能なレジの導入をしていないことを考えるとこのようなミスは今後も起こり得るため、細心の注意を払って会計をしなければなりません。これは現金決済の大きなデメリットといえるでしょう。カード決済ならこのような心配をせずに済みます。
ATMから現金を引き出せない
これは飲み会などで誰でも起こるトラブル事例なので関係ないと思っている方にも気をつけてもらいたいと思います。
飲み会など現金がいくら必要になるのか事前にわからないシーンでは、いつもよりも多く現金を持参したりするものですが、これぐらいで大丈夫だろうと意気込んで足りなくなってしまうことは誰にでもあると思います。実はこれ、カード決済がメインの筆者にはよく起こる現象です(笑)。
夜も深くなってくると銀行のATMは営業時間外となるので必然的にコンビニのATMに頼ることになるのですが、コンビニのATMでもその銀行が営業時間外だとお金を引き出せなってしまいます。
例えば、2019年9月現在、セブン銀行では三井住友銀行は日曜21時〜月曜7時まで取扱なし、みずほ銀行では土曜22時〜日曜8時まで取扱なし、となっていますので、飲み会など会合の多い時間帯にお金を引き出せないようになっており、かなり不便に感じることがあります。
24時間365日引き出しが可能な銀行もありますが、全ての銀行がそうではないですし、それを知ったところで銀行を使い分けるのも面倒ですよね。ですから、こういったトラブル事例があることを先に知っておくとトラブルを未然に防ぐことができます。
と言っても、現金が足りなくなることはあるので、そう考えるとカード決済ができる環境を作っておいたほうが安心感があります。複数での飲み会が多いなら、割り勘機能のあるスマホ決済サービスを使うことも検討したいものです。
不潔
これはトラブルではないかもしれませんが、潔癖症の方にとって辛いのは現金はとても不潔であるということです。紙幣よりも貨幣のほうが汚いイメージがあるかもしれませんが、実は紙幣のほうが汚いと言われています。
例えば、貨幣の場合、10円玉は殺菌作用や浄化作用の高い銅が主原料となっているため、実はお金の中で一番清潔だと言われています(それでも多くの方が触れているので汚いのには変わりありません)。
対して、紙幣はどれも不潔です。というのは、紙幣には大腸菌やピロリ菌、インフルエンザ菌といった菌類が付着していると言われているからです。“公衆トイレの便器よりも汚い”なんて揶揄されることもあるぐらいです。
日本の紙幣は海外の紙幣より清潔だと言われていますが、それでも菌類が付着していることには変わりないので、清潔であるとは口が裂けても言えません。海外の紙幣は薬物が付着していることがあり、薬物所持の疑いをかけられる危険性もあり、だからこそ海外ではカード決済が主流となっていたりします。
潔癖症の方の中にはお札を触った後に必ず手を洗う方もいるそうです。クレジットカード決済をメインにすれば、不特定多数の方が触った紙幣や貨幣に触れる機会は極端に減らせます。
クレジットカード決済のトラブル事例
便利さえがゆえにクレジットカード決済にもトラブル事例はいくつかあります。ただ、最初に言っておきたいのは、クレジットカード決済で起こるトラブルは知識さえあればある程度の対処ができるということです。ですので、今クレジットカード決済をメインにしている方はもちろんのこと、これからクレジットカード決済をしていきたいと考えている方も一緒に確認していきましょう。
紛失
クレジットカードの紛失と現金の紛失はその後の対応が全く異なるため、同様のトラブルとして考えてはいけません。
現金を紛失した場合、自分で見つけ出すか、誰かが近くの交番や紛失した店舗に届けてくれない限りは原則として返ってきません。
対して、クレジットカードを紛失した場合は、カード会社に紛失した旨を連絡することでまずクレジットカードを無効にすることができ、不正利用を防ぐことができます。そして、再発行もできます。
もし不正利用されてしまっても、全てのクレジットカードには紛失・盗難保険が自動付帯しており、不正利用されたその金額分は“基本的には”補償してもらうことができるため、現金決済よりも高額の利用に安心感があります。
“基本的には”とあえて表現したのは、例えば、契約者しか知らない情報(暗証番号を入力するetc..)をもとに決済された場合などは補償されない可能性があるからです。
それでも現金の場合は紛失後に勝手に使われてしまったらそこで終わり、と考えると、そういった可能性が低いクレジットカードのほうが安全性では明らかに分があると言えるでしょう。
ただし、クレジットカードを再発行することになれば手元に届くまではカード決済できませんし(カード番号も変わってしまうためネット決済も不可)、実際に手元に届くまで2〜3週間ほどかかってきますので、カード決済をメインにしている方にはかなり不便を感じるになるでしょう。銀行系やプロパーカードほど発行までに時間を要する印象があります。
不正利用
紛失時についても「不正利用」のことを少し触れましたが、さらに一歩踏み込んで解説していきます。おさらいすると、クレジットカードの場合は紛失後に不正利用されても基本的には補償してもらえる(※暗証番号など契約者にしか知らない情報をもとに決済された場合は補償されないこともある)ということでした。
正直なところ、クレジットカード決済は常に不正利用が付き物となってきます。これは過去にカード決済したサービスや店舗からあなたのカード情報が漏洩してしまう可能性があるからです。
事業者がカード情報を故意に漏洩させることはほとんどありませんが、たとえセキュリティにしっかりと力を入れていても少しでも脆弱性が見つかれば犯罪集団はそこを見逃さず攻撃し、カード情報を盗み取ります。
不正利用対策のために、カード番号やカード名義人だけでなく、セキュリティコードの入力を義務付けているところが多いですが、カード番号とカード名義人のみで決済できてしまうサービスはまだまだありますので、こういったところでのカードの利用はなるべく避けるようにしたほうがいいでしょう。
あまり知られていませんが、実は不正利用は身近の犯行が多いと言われています。身内ならカード番号やカード名義人などすぐに特定できますし、赤の他人よりは暗証番号を特定しやすいでしょう。先述したように暗証番号が入力されてしまうと補償の対象外となってしまうため、暗証番号は自分にしかわからない番号にしたほうがいいです。
また、不正利用された際にはカード会社と警察への届け出が必要なので正直言って面倒です。「少額だから」といって諦めてしまう方も中にはいるかもしれません。でも、その不正利用を行った犯人はあなたのカード情報を手に入れていて、いつても高額の利用をできる状態にあるわけですから、たとえ少額の不正利用でもしっかりと届け出たほうがいいです。
ここだけの話ですが、不正利用された際の対応はカード会社によって結構異なります。あるカード会社は請求前に不正利用された金額分を帳消しにしてくれたのに対し、あるカード会社は実際に引き落とされてから補償した、というように不正利用されたのに一時的に契約者に負担をさせるカード会社もあるので、高額の請求だった場合にすごく困りますよね。
不正利用が特に心配な方はクレジットカードを作る前に不正利用に対する口コミもしっかりと調べておく必要があります。作ってからでも遅くないので一度調べることをおすすめします。
ショッピング保険が適用外
知らない方が多いようですが、実はクレジットカードには「ショッピング保険」が付帯されている場合が多いです。「お買い物保険」などと言われることもあります。
ショッピング保険とは、クレジットカードで購入した商品が破損したり、盗難されてしまったときに補償してくれる保険のことです。例えば、10万円のバッグをクレジットカードで購入し1ヶ月後にひったくりに盗まれた、なんて場合に補償を受けられるわけです。
「え?それってすごい親切じゃない?」と思われた方は多いのではないでしょうか。筆者も初めて知ったときにそう思いました。ですが、なかなかこのショッピング保険についての認知が広まらないので、今日はじめて知った方は周りの方にも教えてあげてもらいたいと思います。
ただし、ショッピング保険は対象外となる事例が結構多いので注意が必要です。例えば、三井住友カードの場合、以下の商品を補償の対象外としています。
三井住友カードの補償の対象とならない主な商品
- 船舶(ヨット、モーターボートおよびボートを含む)、航空機、自動車、自動二輪車、原動機付自転車、自転車、雪上オートバイ、ゴーカート、ハンググライダー、パラグライダー、サーフボード、セーリングボート、ラジオコントロール模型およびこれらの付属品
- 移動電話、ポケットベルなどの携帯式通信機器およびこれらの付属品
- 義歯、義肢、コンタクトレンズその他これらに類するもの
- 動物および植物
- 現金、手形、小切手、その他の有価証券、印紙、切手、乗車券など(鉄道・船舶・航空機の乗車券・定期券・宿泊券・観光券および旅行券をいいます)、旅行者用小切手およびあらゆる種類のチケット
- 食料品
- 稿本、設計書、図案、帳簿その他これらに準ずるもの
- 不動産および不動産に準ずるもの
- 会員が従事する職業上の商品となるもの
これを見ると補償が適用されない商品は意外と多いと感じるかもしれません。船舶などは一般の人にはあまり関係がないように感じますが、例えば、携帯電話が対象外となっているのは少し気になるところです。というのは、スリの多い海外では携帯電話はよく狙われる商品だからです。そうでなくてもなくしやすいものでもあるので、対象外となるのは仕方ないかもしれませんが...。
では、対象外でない商品であればなんでも補償してもらえるのか、というとそれもまた違います。ショッピング保険が適用してもらうにはいくつかの条件を満たす必要があります。
大きなポイントとなるのが「本人に大きな過失がないこと」です。さきほど例に出した10万円のバッグをひったくりに盗まれたといった事例は本人に全く過失がないため補償をしてもらうことができますが、例えば、置き引きに遭った場合はバッグを盗まれる可能性を自ら作り出している=本人に多少なりとも過失があったと捉えることができるため、補償が適用されない可能性が出てきてしまいます。
また、「利用の控えがないと保険が適用外」という場合も多いです。最近ではウェブ上で利用明細をダウンロードできたりしますが、紙の利用の控えがないと無効という事例も多いです。全てのカード会社がそうではありませんが、確実に保険を適用してもらうためには買い物の際に受け取る利用の控えをしっかりと保管しておく必要があります。
これはクレジットカードの種類にもよりますが、「国内での被害は保険の適用外」「支払い方法がリボ払いのみ保険が適用」といったカードもありますし、カードのグレードによって補償できる金額の上限が違いますので、ショッピング保険についてはそれぞれのカードの利用規約をしっかりとチェックしておく必要があります。
支払いの遅延による信用情報の悪化
クレジットカード決済のトラブル事例として多くなっているのが、支払いの遅延をしたことによって信用情報に傷がついてしまうことです。
「それの何がいけないの?」と思う方は多いかもしれません。筆者もクレジットカードにそこまで詳しくなかった頃にこの話を聞いていたら「そんなに大したことなのかな?」と思っていたかもしれません。でも今なら言えます、大したことだと。
私たちのクレジットカードの利用履歴はCICやJICCといった個人信用情報機関に全て記録されています。クレジットカードの利用履歴だけでなく、ローン契約の利用履歴が記録されていますので、当然ながら、これらの支払いで遅延が遭った場合にはその旨が記録されることになります。
問題なのは支払いを遅延した記録がネガティブな情報として取り扱われることです。カード会社はクレジットカードが申し込まれた時点で申込者の信用情報を個人信用情報機関に照会し、問題がないかチェックするわけです。このとき、過去に支払いの遅延をした記録を発見されると審査はスムーズに進まず、場合によってはこのネガティブ情報が原因で審査に弾かれることもあります。
ただし、支払いの遅延が1〜2回程度であれば、見逃してくれるカードも会社もあります。それでも、銀行系やプロパーカードといった審査が厳しいクレジットカードとなると、1〜2回の支払いの遅延があるだけで審査に落とすことになるので高ステータスカードを狙っている方は注意が必要です。
ちなみにですが、CICの場合、61日連続または3ヶ月以上の長期延滞があると返済状況の欄に「異動」と表示されます。異動の表示がつくと審査が甘いクレジットカードでも審査に落ちる可能性が高くなってきますので、高ステータスカードを狙っていない方でも日頃から注意して利用しなければなりません。
様々な事由による決済不可
筆者は支出の8割をカード決済していますが、今でもはっきりと言えるのは現金決済のほうが使えるシーンは多いということです。現金が使えてクレジットカードが使えないシーンは多く存在しますが、クレジットカードが使えて現金が使えないシーンなんてないですよね。
困るのは、クレジットカードが本来使えるシーンなのに様々な事由で使えない状況に遭遇してしまうことです。
例えば、「磁気不良」。クレジットカードには磁気タイプとICタイプの2種類あり(磁気タイプは年々減少)、磁気タイプの場合は決済端末にスライドして決済を完了させます。クレジットカードを長年使っているとこの磁気が劣化して磁気不良を起こし、決済端末が読み取ってくれなくなってしまうのです。この場合、再発行してもらわなければならないため、非常に面倒です。
「停電」もトラブル事例の一つです。クレジットカードはセンターと通信することで決済が可能になるため、通信環境が整っていなければなりません。つまり、停電時にはカード決済ができなくなってしまうわけです。大地震が起こって停電が長く続くような場合、カード決済がメインとなっている方は苦労することになるでしょう。ただし、ATMからお金を引き出すときにも電源が必要になるので、現金決済派の方も停電時は同じく苦労します。
また、「お店側の不手際」もトラブル事例として筆者が実際に経験したことがあります。クレジットカードが使えるから入ったお店なのに店員さんが新入りさんだったのか使い方がよくわかっていなかったようで、手こずってしまっていて、お昼時で急いでいたこともあり、「じゃあ、現金でいいですよ」と諦めてしまったことがありました。
常にクレジットカード決済に分がある
現金決済とクレジットカード決済のトラブル事例を比較してみて、クレジットカードに分があると感じた方は多いのではないでしょうか。
やはり、最も大きいのは紛失時の補償があるかないか、の違いとなると思います。いくら治安のいい日本とはいえ、現金は紛失してしまったら全額返ってくる可能性は低いです。これが海外でとなるとほぼ100%返ってこないと思ったほうがいいです。
クレジットカード決済なら、紛失した際に不正利用されたとしても関係各所に届け出をしておけば、しっかりと補償してもらうことができます。ショッピング保険についてはまだ未熟な部分はありますが、現金決済と比べればショッピング保険がついているだけマシと考えることができるでしょう。
はっきり言えるのは、常にクレジットカード決済に分があるということです。補償面はもちろんですが、何よりもクレジットカード決済は利便性が高いです。
ここ最近、筆者がよく感じるのが会計時に現金決済をしている方のスピードの遅さです。現金決済の方は「ほんの1〜2分のことでしょ?」と思うかもしれませんが、カード決済に慣れている人から見るとそのほんの1〜2分が耐え難かったりします。だって、カード決済なら数秒で済んでしまうのですから。
カード決済をメインにすれば銀行ATMを利用する機会も大幅に減ります。筆者の場合、銀行ATMを利用するのは月に1回ないし2回です。飲み会などを想定して月に1回数万円を下ろす程度で、あとはほぼカード決済または電子マネー、QRコード決済で済ませています。スーパー、コンビニ、ドラッグストア、これらすべてキャッシュレス決済ができるので、現金を多く持つ必要はなくなっています。
ポイントが貯まるのもクレジットカード決済のいいところでしょう。例えば、ポイント還元率1.0%のカードなら、毎月5万円の支出があれば毎月500ポイント貯まるので、1年間で6,000ポイントも貯まることになります。
現金決済にはポイントがつかないですし、ついたとしてもそれぞれのお店が独自に発行するポイントや共通ポイントぐらいで、これらはクレジットカード決済でも貯められるわけですから、ポイントの二重とりができることを考えるとやはりクレジットカード決済のほうが分があります。
電子マネーやQRコード決済を利用する方はクレジットカードを利用すれば、ポイントの三重とりも可能になります。このとき鍵を握るのがチャージにクレジットカードを使うことです。クレジットカードでチャージするとチャージポイントが貯まる場合があるので、これが実現できればポイントはさらに効率よく貯まります。
お金にまつわることはトラブルが付き物
今回、現金決済やクレジットカード決済に関するトラブル事例を様々紹介してきましたが、どちらもお金にまつわることです。お金にまつわることは必ずトラブルが付き物であるということを再認識してもらいたいと思います。
クレジットカード決済の不正利用には特に注意しなければなりません。「私は大丈夫だろう」と思わないことが何よりも大事です。
日本クレジット協会が発表した「クレジットカード不正利用被害の発生状況」によれば、被害額は2014年が114.5億円だったのに対し、2018年には235.4億円とわずか5年間で2倍以上になっており、年々増加傾向にあるため、身近な問題であることを心に留めておく必要があります。
と言っても気をつけるにも限界があります。いつもどおりにカード決済をしていただけなのにいつの間にかカード情報が漏洩していた、なんてことは誰にでも起こり得るからです。
ただ、たとえ不正利用されたとしてもカード会社に連絡すればしっかりと補償を受けられるようになっているので、不正利用されたときには焦らずに対処していけば問題ありません。なるべく早めにカード会社および警察に届け出を出して、万全の状態で補償を受ける体制を作っておくようにしましょう。
クレジットカードはとても便利なものですが、ときに金銭感覚を狂わせてしまうことがあります。クレジットカードを持ったことで「いくら使っても大丈夫」という金銭感覚になってしまった筆者の友人は、支払いの長期延滞を起こしてしまい結果的に解約を迫られてしまいましたので、こうならないようにしないといけません。
そのためにも、クレジットカードを利用するときは現金を使うとき以上に計画性が求められます。今はどのカード会社もウェブ上で手軽に明細を確認できるようになっているので、こまめに確認する習慣を作りましょう。また、カード決済に使ってもいいのは月◯万円まで、といったような決まりを作ってあげると使いすぎることもなくなります。
クレジットカードはますます便利なツールになってきます。計画的な利用を心がけ、生活を豊かにするツールとしてこれからも日々利用していきましょう。