「審査なしのクレジットカードがなかなか見つからないんです...」という相談を時々もらいます。一度審査に落ちると、次に申し込むときに審査に落ちるか不安になるもの。
また、審査に落ちると、落ちた情報が信用情報機関に記録される関係で、直近6ヶ月間は新規に申し込めない(申し込んでも落ちる可能性が高い)ため、一定期間、クレジットカードが作れなくて困っている方もいるでしょう。
となれば、次こそは審査に合格したいですよね。では、審査なしのクレジットカードなど本当にあるのでしょうか?
クレジットカードには審査が必ずある
結論から言ってしまえば、審査なしの“クレジットカード”はありません。クレジットカードのクレジット(Credit)とは、信用や信頼という意味で、信用度が低いと判断されると、審査で弾かれます。信用度=返済能力の高さを示すことになるので、信用度の調査のために、必ず審査が必要になってくるわけです。
カード会社が最も避けたいのは、「貸倒」です。貸倒とは、滞納・延滞が続き、最終的に返済されないことで、カード会社にとっては大きな損失となります。貸倒のリスクを減らすためにも、審査を必ず行う必要が出てきます。
各カード会社、審査には「スコアリングシステム」を採用しています。このシステムは、申告した収入や職業、雇用形態、勤務年数、住居種類、借入の有無などをコンピュータで点数付けし、スコアを弾き出すものです。スコアの結果が各カードの合格ラインを突破していれば審査通過となります。
以前は、人柄や文字の綺麗さなどを主観的な「定性分析」が採用されていましたが、スコアリングシステムの登場により客観的な「定量分析」が行われるようになり、より細かく信用度を評価することができるようになりました。
クレジットカード業界に携わって10年以上が経過する筆者から言わせてもらうと、近年、審査が甘い傾向と言われているものの、審査はしっかりと行われていると断言できます。例えば、事故情報を隠していても、信用情報機関に記録されているため、照会すれば必ずバレます。しかし、逆に言えば、様々な要素(属性)から信用度を診断していくため、プラスに捉えられる要素は増えてきています。
審査がないカードは実在する
前章で「審査なしの“クレジットカードは”ありません。」と書きました。“クレジットカードは”とわざわざ強調したのには理由があります。というのも、クレジットカードではない審査なしの代用カードは実在するからです。
クレジットカードの機能を100%とすると、80〜90%程度の機能を担うカードがいくつかありますので、紹介します。クレジットカードとほとんど同じように使うことができるので、次の申し込み機会が来るまでのの繋ぎとして作成を検討してみてはいかがでしょうか。
デビットカード
デビットカードは、利用後に即座に口座から引き落とされる後払いのカードで、審査なしで作ることができます。口座と紐づけるため、残高以上の利用ができないこと、利用した旨をネットやメール、アプリで即座に確認できることから、お金の管理がしやすいのが特徴的です。デビットカードもクレジットカードと同様に、利用に対してポイントがつきます。年会費は基本的無料のものがほとんどです。
クレジットカードとの大きな違いは、分割払いができないことです。また、高速道路やガソリンスタンド、光熱費等の月々の支払いなど一部の決済に対応していないことも違いとして挙げられます。それでも、多くの方が利用するショッピングには問題なく使うことができます。
還元率が全体的にクレジットカードよりも低く設定されているのが難点ですが、クレジットカードとほとんど同じように使うことができますので、利用にあたって困ることはありません。
メリット |
デメリット |
・審査なしで作れる
・利用でポイントが貯まる
・国際ブランド付きで海外でも使える
・ネット/メール/アプリで利用状況を確認できる
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・分割払いができない
・利用できないシーンがある
・光熱費等の月々の支払いに非対応
・口座を準備する必要がある
・還元率が低い
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住信SBIネット銀行 Visaデビット付キャッシュカード
住信SBIネット銀行が発行するデビットカードです。ネットバンク発行で、お引き出しが月2回〜最大15回(ランクによる)まで無料、同行宛の振込は無制限で、他行宛でも月1〜15回(ランクによる)まで無料となっています。
最大の魅力は、ポイント還元率0.6%の高還元率!これはデビットカードの中では最高クラスの還元率です。利用頻度が多い方ほどお得感を感じられます。
デビットカードは月々の支払いには対応していないものが多い中、こちらのカードは電気・ガス・水道・携帯電話など月々の支払いに対応していますので、効率よくポイントを貯めることができます。
このカードを使うなら、「Visa payWave」にも注目!これは、加盟店で専用端末にかざすだけで決済ができる非接触IC型の決済サービスです。サインや暗証番号が不要なので、スピーディーな決済が可能になります。
年会費 |
無料 |
還元率 |
通常0.6% |
国際ブランド |
VISA |
利用限度額 |
1,000万円 |
Sony Bank Wallet
ソニー銀行が発行するデビットカードです。券面デザインがオシャレなこともあって人気です。デビットカードは発行条件が16歳以上が多い中、15歳以上となっているので一番最初に持てるデビットカードです。
還元率は通常0.5%と決して高くはないですが、利用額に応じた「シルバー(還元率1.0%)」「ゴールド(還元率1.5%)」「プラチナ(還元率2.0%)」のステージ制となっているので、メインとして使えば、意外と効率よくポイントを貯めることができます。
セブン銀行・イオン銀行の利用手数料が何度でも無料で、その他提携ATMでも月4回まで無料で利用することができます。
世界のソニーだけあって海外での利用にも強みを発揮します。米ドル、ユーロ、ポンドをはじめ10種類の支払い・現地通貨引き出し(外貨両替)に対応しているため、海外旅行も安心です。ご利用時に外貨残高が不足していた場合には、日本円から自動で外貨に両替できる安心機能を搭載しています。
年会費 |
無料 |
還元率 |
通常0.5% |
国際ブランド |
VISA |
利用限度額 |
200万円 |
JNB Visaデビット
ジャパンネット銀行が発行するデビットカードです。還元率は通常0.2%と高くありませんが、年会費・発行手数料ともに0円で発行することが可能です。
「自動融資」というサービスがあるのが特徴的です。これは預金残高が不足していた際に不足額を自動で借り入れるサービスです。このサービスがあることで、万が一、預金残高が不足していた際も安心してカードを利用できます。
デビットカードは利用後すぐに通知が来るのが特徴的ですが、JNB Visaデビットには専用アプリが用意されています。1秒ログインを売りにしていて、手軽に残高を確認することができます。入出金の確認も簡単にできるので、家計簿もつけやすいです。
JNB Visaデビットには、ファミマTカード連携カードがあり、こちらは毎週火曜・土曜に現金払いの5倍のポイントが貯まるので、ファミリーマートをよく利用される方に特におすすめです。
年会費 |
無料 |
還元率 |
通常0.2% |
国際ブランド |
VISA |
利用限度額 |
500万円 |
三菱東京UFJデビット(JCB・VISA)
三菱東京UFJ銀行が発行するデビットカードです。発行元が銀行なので、還元率は高くないですが、保険・補償がしっかりと付帯されているのが人気の理由となっています。
特徴的なのは、国際ブランドをJCBもしくはVISAから選ぶことが可能なこと。JCBの場合は、ポイント還元率0.3〜0.5%で、「旅行保険(国内・海外)」「海外ショッピング保険」「不正利用補償」がつきます。VISAの場合は、還元率0.2%で「国内・海外ショッピング保険」「不正利用補償」がつきます。
年会費は、初年度無料で、翌年以降は1,080円となっていますが、前年度のご利用金額10万円以上で翌年も無料になるので、月平均8,333円利用すれば、翌年も無料のままです。
年会費 |
1,080円(初年度無料) |
還元率 |
通常0.2〜0.5% |
国際ブランド |
JCB・VISA |
利用限度額 |
1,000万円 |
セブン銀行 デビット付きキャッシュカード
セブン銀行が発行するデビットカードです。キャッシュカードと電子マネーnanacoの「一体型」が人気です。nanacoと紐付ができるので、nanacoを既にお持ちの方は「紐付型」をお選びください。
国際ブランドがJCBでJCB加盟店では還元率が0.5%ですが、7&iグループ(西武・そごうなど)では還元率1.0%、セブン-イレブンでは還元率1.5%となるので、加盟店を中心にお使いの方は効率よくポイントを貯めることができます。
セブン銀行 デビット付きキャッシュカードを持つなら、専用アプリ「セブン銀行 かんたん通帳」を使うべし!各種お取引のほか、nanacoのポイントなどをすぐに確認することができます。
年会費 |
無料 |
還元率 |
通常0.5% |
国際ブランド |
JCB |
利用限度額 |
200万円 |
SURUGA Visaデビットカード
スルガ銀行が発行するデビットカードです。従来の質素なデビットカードと違い、オシャレなデザインで人気となっています。ブルー、パステル、ピンクとの3色展開で、お好きなデザインを選ぶことができます。
対象は、中学生を除く15歳以上となっていますので、なるべく早く持ちたい方におすすめできますし、家族カードを作ることもできます。
保証内容の手厚さが評判です。「お買い物安心サービス(ショッピング保険)」「盗難保険」が無料で付帯されています。ショッピング保険は、最高限度額30万円で、自己負担額5,000円、保証期間は60日間となっています。盗難保険は、事故日を含め61日前まで遡って被害の補償をしてくれます。
「自動貸越」というサービスがあり、預金残高が不足していた際に自動で融資してもらえます。限度額内であれば、何度でも利用することができます。キャッシングとしても利用できるため、安定した収入がある20歳以上65歳以下の利用に限られます。
年会費 |
無料 |
還元率 |
通常0.2%
※年間利用額をキャッシュバック |
国際ブランド |
VISA |
利用限度額 |
100万円 |
プリペイドカード
プリペイドカードは、事前にチャージが必要な前払いのカードで、審査なしで作ることができます。チャージした金額分しか使えないため、クレジットカードのように使いすぎることがありません。利用に対してポイントがつくものもあります。年会費は基本的に無料です。
ICカードと一緒にされる場合が多いですが、プリペイドカードにはVISAやJCBなどの国際ブランドがついていますので、海外でも使うことができます。利用でポイントがつくことから、現地で外貨両替をせずに、あえてプリペイドカードで支払う方も最近は増えてきているようです。
意外と利用できるシーンが広く、還元率が高いものも多いので、最近はデビットカードよりも注目されています。
メリット |
デメリット |
・審査なしで作れる
・利用&チャージでポイントが貯まる
・国際ブランド付きで海外でも使える
・還元率が意外と高い
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・チャージ後の払い戻しができない
・残高を完全に使い切るのが難しい
・チャージの上限額が低い
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LINE Payカード
プリペイドカードの中で最もおすすめ!最大の魅力は還元率が最大2.0%(バッジカラー:ホワイト0%、レッド0.5%、ブルー1%、グリーン2%)となっていること。これほどの還元率を実現しているプリペイドカードは今のところありません。
チャージは、銀行口座やコンビニ、Pay-easy、店頭のレジから可能です。カードをコンビニで購入することが可能で、LINEアプリと提携すれば、即日利用可能です。銀行口座へ送金が可能なので、むしろ、クレジットカードよりも利便性の高さを発揮するシーンがあります。
「LINEプリペイドカード」とよく間違われますが、LINE Payカードには国際ブランドがついていて、“LINE MENBER”と記載があります。
年会費 |
無料 |
還元率 |
通常2.0% |
国際ブランド |
JCB |
利用限度額 |
10万円(本人認証なし)
1,000万円(本人認証あり) |
マネパカード
一般的なプリペイドカードと大きく違うのは、米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、香港ドル、日本円の6通貨をチャージできるところです。海外での利用時に為替手数料or海外事務手数料がクレジットカードの実質半額になるため、海外での利用で特にお得感を感じられるカードです。銀行などの外貨両替と比較すると、手数料が最大93%もお得になります。
もちろん、国内利用でもお得に使えます。還元率が通常1%のプリペイドカードは数少ないですし、過去には新規入会キャンペーンで2%還元、FX併用時に最大3%還元キャンペーンなどを実施したこともあり、キャンペーンに積極性が見られます。
年会費 |
無料 |
還元率 |
通常1.0% |
国際ブランド |
MasterCard |
利用限度額 |
円貨1ヶ月50万円まで
外貨1日約100万円まで |
au WALLET プリペイドカード
au携帯電話・auひかり等をご契約の個人の方がお申込みできるプリペイドカードです。携帯電話会社が発行しているだけあって、申込手続きが少し厄介になっているのが難点です。
ただ、国際ブランドはMasterCardなので海外で使いやすいこと、セゾンポイントモール(旧:永久不滅ポイント.com)やワールドポイントプレゼント(三井住友カード)など大手ポイントモールで貯めたポイントから交換できる、などメリットはあります。
年会費 |
無料 |
還元率 |
通常0.5% |
国際ブランド |
MasterCard |
利用限度額 |
100万円 |
番外編
ここまで、デビットカードやプリペイドカードを紹介してきましたが、「どうしてもクレジットカードが欲しい」という方は少なからずいるでしょう。そういう方にぜひチェックしてもらいたいのが「ACマスターカード」と「家族カード」です。
ACマスターカード
ACマスターカードは、一般的なクレジットカードとは少し違った面を持っています。ACマスターカードは、発行元が消費者金融のアコムなので、審査はかなり甘いです。クレジットカードの発行元は、銀行系や信販系、流通系と色々ありますが、その中でも消費者金融系は最も審査が甘いです。
年会費は無料で、ご利用限度額は10〜300万円となっていて、キャッシング(実質年率10.0〜14.6%)が利用できます。
すぐにでも欲しいという方に朗報なのは、ACマスターカードは即日発行も可能なことです。インターネットでお申し込み後、自動契約機(むじんくん)にて即日発行が可能になっています。
一点注意したいのは、リボルビング払いになっていること。リボルビング払いは、月々の返済額を少しずつ行う代わりに、毎月手数料を払わなければならないため、結果的に返済額が多くなる可能性があります。
家族カード
もう一つ検討してほしいのが「家族カード」です。家族カードは、本会員が契約したクレジットカードに追加できるカードのことです。本会員様が審査に通っているため、同一生計であれば、審査なしで追加することができます。これまで紹介したデビットカードやプリペイドカードとは違い、クレジットカードの機能全てを利用することができます。
ただし、デメリットは把握しておきたいところ。まずは、利用可能枠を本会員と共有しなければならないこと。本会員の利用可能枠が100万円だとしたら、それを2人で使っていくことになりますので、本来、本会員が一人で利用できるはずだった枠を圧迫してしまいます。
また、利用履歴を本会員がチェックできてしまう点もデメリットでしょうか。購入したことがバレたら困るものなんかは遠慮してしまうでしょう。
ポイントは本会員と同様に貯まるのですが、貯まったポイントは本会員にまとめられる場合が多いので、なかなか自由に使えないのもデメリットです。
いくつかデメリットを挙げましたが、“審査なしで作れる”というメリットを上回るデメリットはないので、クレジットカードの審査に落ちてしまった方はぜひとも家族カードも検討してみてください。