クレジットカードを選ぶときに気にするポイントの一つに「審査難易度」が挙げられると思います。属性は人それぞれ全く異なるものですから、色々な券種を選択肢とできる人がいれば、限られた券種しか選択肢にできない方がいます。筆者は後者を応援したいと思っています。というのも、筆者もかつては後者だったからです。
そもそも、ほとんどの方はカード会社の系統なんて知らないですし、気にも留めないです。系統は自分で調べないとわからないので、調べる力を身につけなければなりません。ただ、そう言われてもどう調べたらいいのかわからないはずです。そこで今回は審査が甘いカード会社の系統、そして、系統の調べ方などを伝授してみたいと思います。
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発行会社によって審査難易度は異なる
まず知っておきたいのは、クレジットカードは発行会社によって審査難易度が異なるということ。一般カード、ゴールドカード、プラチナカード、ブラックカードといったようにカードランクによって審査難易度が異なることはご存知だと思いますが、発行会社によって審査難易度が変わってくるため、「一般カードだから大丈夫」と安心していると審査に落ちる可能性があることを覚えておきましょう。
クレジットカードの発行会社は大きく分けると「銀行系」「外資系」「交通系」「流通系」「信販系」などに分けることができます。この中で審査難易度が高いのが銀行系と外資系です。属性に自信のない方は銀行系や外資系はなるべく避けるようにしたほうがいいでしょう。
例えば、銀行系は、銀行業務=お金の貸し借りが主業務であることから信用を重視する傾向が強く、審査を慎重に行います。これが審査の難易度を高くしてしまっている要因といえます。
外資系は、アメックスやダイナースなどを指しますが(国際ブランドがダイレクトに発行するプロパーカードでもあります)、これらはステータスの高いクレジットカードを取り扱っているため、審査難易度はどうしても他と比べると高くなってしまう傾向があります。
ただし、アメックスに関しては信販系のクレディセゾンから提携カードが出ていますので、そういったカードは審査難易度が比較的低く、プロパーカードよりも審査が甘い傾向にあります。一般的に流通系や信販系のカード会社は他に比べて審査が甘い傾向があるので狙い目です。
系統は他にも、「メーカー系」がありますが、メーカー系は流通系や信販系からの派生という位置づけとなりますので、今回は詳しい説明は割愛します。ただ、基本的にはメーカー系は審査が甘い傾向がありますので、狙い目といえば狙い目です。
流通系・信販系の審査が甘い傾向にあるのは事実
審査が甘い傾向にあると言われているのが「流通系」と 「信販系」のカード会社です。流通系や信販系のカード会社は少ないと思われがちですが、クレジットカードの多くは流通系もしくは信販系のカード会社から発行されているため、全体としてみれば、審査が厳しいカードよりも審査が甘いカードのほうが多いといえます。審査に臨む前にそれぞれの会社の特徴を掴んでおきましょう。
流通系の発行会社の特徴
流通系とは、デパートやスーパー、コンビニ、商業施設、通販会社といった生産者・販売者を経て最終的に消費者へ商品を届けることを主業務とした会社を指します。つまり、流通系は消費者である私たちと非常に近い関係にあるわけです。
審査が厳しい銀行系や外資系が私たちと遠い関係にあるとは言いませんが、スーパーやデパート、コンビニ、商業施設は誰でも日常的に利用するものですから、他のどの系統よりもより身近な存在といえます。身近な存在だからこそ自社での日常的な利用を見込め、ある程度審査を甘い傾向にしておきながら顧客をたくさん獲得し、密接な関係を築きたいという狙いがあります。
例えば、デパートが発行しているクレジットカードはそのデパートで利用することで還元率がアップするような施策を実施していることが多いです。還元率がアップするとなれば、消費者である私たちはそのデパートを利用する際にそのデパートが発行したクレジットカードを使うことになりますよね?これが自社での日常的な利用を見込める理由です。
クレジットカードの審査では信用があるか否かを主に見極めていくわけですが、多少信用力が低いと判断されても、自社で利用してもらえる可能性が高いことがわかればクレジットカードを発行してくれる、という姿勢がみられるのが流通系の特徴といえます。もちろんすべてがそうではありませんが、そういう一面があるのは事実で、(他と比べて)審査が甘いと言われる所以はそこにあります。
信販系の発行会社の特徴
信販系とは、信用を供与した会員の買い物代金を建て替えることを主業務とした会社を指します。この場合の信用を供与した会員とは、クレジットカード契約者のことです。
クレジットカードで利用した金額は翌月に一括払いで返済するのが一般的なパターンとなっています。つまり、買い物代金を誰かが一時的に建て替える必要があります。その一時的な建て替えを行っているのが他でもないこの信販系のカード会社なのです。
流通系のクレジットカードも同じように買い物代金の建て替えを行っているという意味では発行会社は信販会社に分類できますが、“信販系”と大きな括りにする場合はクレジットカードの代金建て替え業務を主業務としている会社を指す、と分けて考えるといいでしょう。
カード会社の収入源は、金利収入(リボ・キャッシングなど)、手数料収入(加盟店手数料など)、年会費収入が主となっていますので、顧客を獲得し続けないと利益を出し続けることができません。そうなると、信販系のカード会社は顧客の獲得=収益の確保となるので、自然と審査は甘い傾向になってくるわけです。
それでも審査はしっかりと行われていますので、過去に支払いの長期延滞をするなどブラックリストに載っているような方は信販系でも審査に落とされてしまうことがあります。審査は甘い傾向にありますが、100%審査に合格するわけではないのでその点は心得ておかなければなりません。
カード会社の系統の調べ方
流通系や信販系のカード会社が審査が甘い傾向にある、と言われたところで「じゃあ、どうやってカード会社の系統を調べるの?」と思った方はとても多いはずです。
そもそもの話、カード会社の系統を気にする方は少ないです。審査に何度か落ちて、落ちた理由を探っているうちにカード会社の系統が問題かもしれない、と気づくことが多いです。カード会社を調べようと思った時点であなたはもうこの業界に一歩足をつっこんでいると言えるかもしれません。深く知ろうと思うことは素晴らしいことです。
本題に戻りますが、カード会社を調べるにはどうすればいいのでしょうか。調べ方はシンプルです。「〇〇(クレジットカードの名称) 発行会社」と調べれば、ひとまずカードの発行元を特定できます。検索後のトップページにWikipediaが表示され、そこに発行会社が記載されているパターンが多いです。
次はその発行会社の系統を調べる必要があります。そこで利用してもらいたいのが、「リクナビ-企業検索」です。企業検索に発行会社の名称を入れて検索すると、業種のところに「流通」や「信販」と記載されますので、これがそのカード会社の系統となります。
「Orico Card THE POINT」という高還元率クレジットカードを例にとって実際に調べてみましょう。「Orico Card THE POINT 発行会社」と検索すると、トップページにWikipediaが表示され「オリエントコーポレーション」が発行元であることがわかります。次にオリエントコーポレーションを「リクナビ-企業検索」にかけると「信販系」であることがわかりました。よって、Orico Card THE POINTは信販系のカード会社から発行されるクレジットカードとなります。
信販系はクレジットカードの中でも比較的審査が甘い傾向がありますので、クレジットカードを初めて作ろうと考えている方はもちろん、審査に不安を覚える方におすすめできるクレジットカードといえます。
ただし、一点注意が必要なのは、流通系もしくは信販系だからといって審査が甘いとは限らないことです。冒頭でも触れたようにクレジットカードにはランクがあり、一般カードなら審査は甘いですが、ゴールドカードやプラチナカードのような高ステータスカードになると、いくら流通系や信販系でも属性に不安があれば審査に落とされる可能性は高くなりますので、ステータスの高いカードは避けるようにしたほうがいいです。
系統の判断がつかない場合がある
上記のような方法でカード会社の系統を調べることは可能ですが、「調べてはみたがよくわからなかった」と相談を受けることがあります。実際、一つのカードで複数の系統が組み合わさっている場合があります。
系統の判断が難しいクレジットカードの代表例に「イオンカード」があります。イオンカードは発行会社がイオンクレジットサービス株式会社となっており、まず、信販系であると判断できます。
しかし、イオンクレジットカードサービス株式会社はイオンフィナンシャルサービス株式会社の傘下となっており、傘下には他にも株式会社イオン銀行が含まれるなど、銀行系の色合いがないとも言い切れません。
そもそも、イオングループは全国に大型ショッピングモールを抱えるなど流通系としても捉えることができるため、イオンカードに関しては信販系・流通系・銀行系のどれなのかを判断することが難しいです。この場合、3つの系統が組み合わさっていると判断するのが妥当でしょう。
一般的に銀行系のクレジットカードは審査が厳しいイメージがあります。しかしながら、イオンカードは信販系や流通系の色合いが濃いカードでもあるので、他の銀行系のクレジットカードに比べると審査は優しいと判断できます。
特に今回取り上げたイオンカードのように、銀行系でありながら信販系であり流通系でもあるクレジットカードの場合は、どちらかといえば、審査が甘い信販系や流通系の色合いが濃くなることが多いです。
審査は必ずあるが差は出るもの
流通系や信販系のクレジットカードは審査が甘い傾向にあるのは紛れもない事実です。しかし、審査が全くないわけではありません。
審査がないと言われているデビットカードでも実は一定の審査があると言われている(口座の有無をチェックし反社会的勢力でないことを確認)ので、クレジットカードは発行に至るまでに必ず審査を突破しなければなりません。
では、どんなところで審査に“差”が出てくるのでしょうか。クレジットカードの審査に落ちる理由を考えてみると自然と答えがわかってきます。審査に落ちる理由は様々ですが、今日のクレジットカード審査において評価に差が出やすいのが「勤続年数」や「雇用形態」です。
まず、勤続年数についてですが、勤続年数は長ければ長いほど良い評価を受けます。勤続年数が長いと安定継続収入があると判断できるからです。カード会社は安定継続収入があるという点を非常に好むため、勤続年数が10年以上だと良い評価をもらいやすいです。
実際に各カード会社の入会条件をみてみると「満18歳以上で安定継続収入がある方」「電話連絡が可能で、安定継続収入がある方」などと記載してあることが多いです。
勤続年数の長さ=安定継続収入となってくるので、転職後すぐにクレジットカードに申し込むと優良顧客でも審査に落とされてしまうことがあります。勤続年数は大きな武器となるので覚えておきましょう。
ただし、審査が甘い流通系・信販系のカード会社であれば、勤続年数2〜3年でも良い評価をもらえることがあるので、そこまで大きな心配はしなくてもいいです。
次に雇用形態についてですが、良い評価をもらえるのは公務員や正社員です。公務員や正社員は安定継続収入があると判断されるうえ、ボーナスが支給されるため、年収の面でも評価されやすいです。
「それなら年収の多い個人事業主も評価されやすいのでは?」と思うかもしれませんが、特に個人事業主は収入の安定性を欠くと判断されており、年収が数千万円クラスの方でも一般カードの審査に落とされてしまうことがあります。
契約社員や派遣社員、パート、アルバイトといった雇用形態の方は職業としての評価はあまり高くありませんが、流通系や信販系の一般カードであれば、過去に支払いの長期延滞等なければ審査に通る可能性は十分にあります。ただし、勤続年数が半年以下など極端に短いと審査に落ちる可能性があります。
主婦や学生は、本人に収入がない場合は基本的には厳しい審査結果が返ってきます。ただし、主婦は配偶者に、学生は両親に収入があるため、同一生計であれば審査に通る可能性があります。主婦は家族カードがありますし、学生は利用可能枠を制限した学生専用カードがあるので、それらを検討するのもいいでしょう。
年金受給者の方は、「そもそも無理だろう」と諦めてしまいがちですが、年金を安定継続収入として認めてくれるカード会社は少なくないので、年金受給者の方でもクレジットカードを持てる可能性は十分にあります。ただし、高齢者を狙ったカード詐欺が増えていますので、不正利用対策のためにご家族と相談のうえ作るか否か決めたほうがいいでしょう。
最も厳しい評価が下るのが無職です。無職の方は当然ながら安定継続収入がないと判断されますので、流通系や信販系の一般カードでも審査に落とされる可能性が高いです。無職でも審査に通るカードはありますが、基本的には厳しい評価が下されると思ったほうがいいです。
審査が不安な方は流通系・信販系を狙うべし
はっきり言ってしまえば、審査に不安を覚えている方は最初から流通系もしくは信販系のクレジットカード一択で考えてみましょう。それも一般カードを狙うことをおすすめします。一般カードはカードランクの中ではエントリー的な位置づけとなりますので、審査に不安な方にも良い審査結果をもたらしてくれることが多いです。
筆者はこれまで様々な雇用形態で仕事をしてきました。個人事業主を経験したことは今でも人生の糧になっていると感じています。当時していた仕事から独立する形で個人事業主になったものの、最初の1年ちょっとはほぼ収入がなく、無職同然の扱いを受けていました。
当然ながらクレジットカードの審査には落ち続けました。流通系・信販系の一般カードに申し込みをしましたが、それでも審査に落ちました。そう聞くと「じゃあ、流通系や信販系は実はそれほど審査が甘くないのでは?」なんて思いますよね?それは違うんです。
流通系や信販系のクレジットカードの審査が甘いのは事実ですが、収入がほぼない、それでいて勤続年数も1年未満、といったように誰が見ても信用力が低いと判断できる場合はいくら審査が甘いと言っても落とされてしまいます。これが現実なので仕方ないです。
独立をする前に先に独立をして個人事業主になった先輩から「会社にいるうちにカードを作っておいたほうがいいよ」と言われてクレジットカードを作っておいたので、クレジットカードがなくて困ることはありませんでしたが、そのアドバイスがなければ困っていた可能性はかなり高いです。
しかし、転職を機に新たにクレジットカードを作ろうとする方は多いので、もし転職を考えている方はまだ間に合うなら転職をする前にクレジットカードを作っておくことをおすすめします。勤続年数は審査で重視されているので、転職後にカードに申し込むと勤続年数がゼロになり、大きな武器を失うことになります。
その後、筆者は個人事業主として一般的な会社員よりも多くの収入を得られるようになり、一般カードはもちろん、それ以上の高ステータスカードを手にすることもできるようになりました。それでも、個人事業主という職業はなかなか評価されないもので、クレジットカードの審査では収入は大きな武器とならないと実感しました。評価の対象となるのはあくまで勤続年数や雇用形態なのです。
なので、極端な話をすれば、年収800万円・勤続年数1年の個人事業主よりも年収300万円・勤続年数10年の正社員のほうが良い審査結果をもらえる可能性が高いわけです。フェアとは言えないかもしれませんが、今日のクレジットカードの審査においてはこれが一般的な見解となっています。
アルバイトで収入が少ないからクレジットカードを作るのを諦めている、なんて方は多いでしょうが、そんなにマイナス思考にならなくても大丈夫です。アルバイトでも勤続年数が長ければクレジットカードを作ることができます。年収100万円台のアルバイトでもクレジットカードを作れる時代なのです。
属性に自信がない方は、少しずつ状況を変化させることを考えていくといいでしょう。例えば、急に正社員に転職するのが難しいなら正社員登用のある雇用環境に転職をする、などすれば、徐々に良い評価をもらえるようになるでしょう。ただ、勤続年数は審査時に大きなポジティブ要素となるので、転職の時期についてはよく考える必要があります。
各クレジットカードの特徴をしっかりと理解すべし
実際にカード会社の系統を自分で調べてみると、流通系・信販系のクレジットカードがいかに多いか気付かされます。というのは、クレジットカードを発行する会社は基本的に信販系の会社となるからです。
信販会社が流通系のサービスを展開していれば流通系としても捉えることができるので、審査の甘いクレジットカードを見つけるときのテクニックとして覚えておくといいでしょう。
ただし、「審査が甘い感じがするからこのカードでいいや」と適当に決めることはしてはいけません。審査難易度だけで選んでしまうとのちのち後悔する可能性があるからです。
クレジットカードにはそれぞれに特徴があります。還元率が高いカードがあれば、低いカードもありますし、年会費がかかるカードがあれば、かからないカードも存在します。これだけでも全然違いますよね?
特に注意が必要なのは、審査が甘いクレジットカードの中には「リボ払い専用カード」が多く存在することです。
リボ払い専用カードは初期設定で支払いがリボ払いになっていますので毎月の負担額は減らせますが、リボ払い手数料が毎月加わるため、結果的に支払総額が大きく膨れ上がる可能性があります。よくわからずにリボ払い専用カードを作って返済不能に陥る方が少なからずいますので注意しなければなりません。
流通系のリボ払いカードとして有名な「セディナカードJiyu!da!」は当サイトでも紹介していますが、こちらはリボ払い“専用”ではなく、設定でリボ払いから一括払いに変更することができます。支払い方法を自由に選べるなら、リボ払いカードも選択肢の一つとして検討していいでしょう。