実は、クレジットカードの審査が甘いかどうかを判断するのは難しい一面があります。それは、昨今のクレジットカードの審査に「スコアリングシステム」が採用されているためです。年齢をはじめ、年収、勤続年数、雇用形態、職種・業種、住居形態、ローンの有無など様々な項目を点数付けするシステムの登場で、各々の属性をより細かく採点することにできるようになったため、ある人は審査が甘いと感じても、ある人は審査が厳しいと感じるようになり、一概に審査が甘いカードはコレです!と言えなくなってきています。
一方、審査が厳しいクレジットカードは非常にわかりやすくなっています。例えば、年収300円以上必要と入会条件が明確に定められているカードは明らかに審査が厳しいと言えるでしょう。言い換えると、審査が厳しいカードに該当していない条件を審査が甘いと捉えることができます。そこで、審査が厳しいカードの特徴や難易度をみて、そこから逆説的に審査の甘いカードの特徴を割り出してみることにします。
プラチナカード以上のカード 難易度:★★★★★
クレジットカードには、ランクがあります。ランクの高いカードほどステータスが高いと言われ、ステータスを気にする方はよりランクの高いカードの取得を目指すものです。
一般カード→ヤングゴールドカード→ゴールドカード→プラチナカード→ブラックカードの順でランク付けされています。プラチナカードもしくはブラックカードは、年齢や年収の最低ラインが設けられている場合が多いため、審査は非常に厳しいです。プラチナカード以上になると、申込制ではなく招待制のカードが出てくるなど、敷居は未だ高いです。
より具体的な話をすると、プラチナカードの平均的な入会資格の目安は、30歳以上、年収500万円となっています。年収500万円以上の方は日本国内でも全体の10%前後しかいないと言われていますので、審査の対象にならない方のほうが圧倒的に多いのが現状です。
狙い目は一般カード
近年、ヤングゴールドカードをはじめ、ゴールドカード、プラチナカード、ブラックカードの審査難易度はいずれも下がってきていると言われていますが、それでもなお難易度が高いことには変わりないので、狙い目は一般カードになります。一般カードとそれ以外では審査難易度は全く違います。
一般カードは、クレジットカードを初めて作る方をはじめ、クレジットカードを普段あまり使わない方にもおすすめできます。細かい属性をいえば、年齢は18歳以上、年収は100万円台後半以上、雇用形態はパート・アルバイト以上、勤続年数は1年以上で審査に受かる可能性が出てきますので、一般カードは多くの方に狙い目といえます。
ただし、一般カードでも過去に金融事故を起こしている場合は審査に落ちる可能性が高いです。金融事故とは、過去にクレジットカードの支払いを延滞したことがある(61日以上または3ヶ月以上の延滞はブラックリスト入りの可能性大)、カード会社/信販会社/消費者金融から借り入れがある、などを指します。金融事故を起こすと、いかなる場合でも審査が厳しい結果となることを肝に銘じておきましょう。
参照:ブラックリストの解除方法
プロパーカード 難易度:★★★★☆
プロパーカードとは、クレジットカード会社が独自に発行しているクレジットカードのことです。プロパー(Proper)には、固有のもの・独自のものという意味があります。プロパーカードを保有し、利用実績を積むことでゴールドカード以上のステータスカードへ切り替えやすいなどのメリットがありますので、基本的に“上を目指す方”に向けたカードになっていて、審査難易度は高くなっています。
国際ブランド(例:American Express、Diners、VISA、Mastercard、JCB)が独自に発行しているカードは特に審査難易度が高いです。一例として、「アメリカン・エキスプレス・カード(通称:アメックス)」「ダイナースクラブカード」「JCB一般カード」が国際ブランドが独自に発行するプロパーカードとなります。
プロパーカードは、年会費がかかるだけでなく、審査時間が長い傾向があったり、還元率が低いものが多いので、ステータス目的で保有したい考えをお持ちの方以外にはあまりおすすめできません。ただし、付帯サービスの内容は手厚いので、満足度の高さが売りとなっています。
狙い目は提携カード
プロパーカードは審査が厳しいので、提携カードを狙うのがおすすめです。提携カードは、国際ブランドと提携したクレジットカード会社が発行するクレジットカードのことです。
実はプロパーカードと提携カードは、同一のものと言われたり、違うものと言われたりするので、ニュアンス次第で捉え方が異なります。ここでは、アメリカン・エキスプレス・カード、ダイナースクラブカード、JCB一般カード以外は基本的に提携カードとして考えてもらうとわかりやすいです。よくわからない方は、申込時にVISA・Mastercard・JCBのどれかを選択できるようなカードが提携カードだと覚えておくといいです。ただし、選択ができない提携カードもあります。
提携カードは、国際ブランドが独自に発行しているクレジットカード(プロパーカード)に比べると審査難易度は低いです。事実、多くの方が一番最初のクレジットカードに提携カードを選びがちです。人生はじめてのクレジットカードがプロパーカードだった、という事例はあまり聞いたことがありません。しかし、提携カードだからといって、一概に審査が甘いといえません。それは、カード発行会社の業種元(系統)が異なるからです。理由は次の項目で説明します。
外資系 or 銀行系カード 難易度:★★★☆☆
クレジットカードを発行する会社は、業種元(系統)が様々あり、その中で難易度が異なってきます。プロパーカードとして人気のアメリカン・エキスプレス・カードやダイナースクラブカードは外資系に分類できます。日本国内で最も多くの顧客を抱える三井住友カードは、銀行系に分類できます。
外資系は審査が厳しい傾向があります。アメックスもダイナースもどちらも明確な入会資格を明記しているわけではありませんが、これらのカードの審査に実際に通っている方の属性をみてみると、年齢は30歳以上、年収は300万円台後半から(年収400〜500万円必要と言われることも)となっており、審査の厳しさを伺える内容となっています。
銀行系も同様に審査が厳しい傾向が未だ残っています。これは銀行の本来の業務がわかれば理解できます。銀行は、貸したお金の利息や金融取引の手数料などを主な利益としているため、お金を預けていい相手なのかどうか見極める能力が非常に高く、これが審査を厳しくする理由となっています。銀行の住宅ローン審査が厳しい理由はまさにそこにあります。クレジットカードの利用に際して、銀行側が一時的にお金を立て替える形になりますので、銀行側がお金を貸しても大丈夫だと判断できない方には厳しい審査結果が待ち構えています。
狙い目は流通系 or 信販系
では、どのような業種元(系統)のカードを選ぶのが狙い目なのでしょうか。狙い目はずばり、「流通系」と「信販系」です。
流通系は、小売業やそのグループ会社を指します。代表的な流通系カードに「セブンカード・プラス」「イオンカードセレクト」があります。スーパーやコンビニ、デパートなど実店舗を持っているのが強みで、自社でお買い物をすることで還元率がアップするなどの施策を講じ、自社での利用拡大を望めることから、審査をなるべく甘くして顧客獲得に繋げています。
信販系は、建て替えを主な事業とする会社全般を指します。建て替えを主な事業にしている=クレジットカード事業を軸としていると言え、顧客獲得が利益拡大につながるため、審査は甘くなっています。信販系は、他の業種元(系統)との連携色を強めたものが多いです。例えば、「セディナカードJiyu!da!」は、発行元は信販系ですが、ダイエーやイオンといったスーパーでお得になるので、流通系寄りの信販系といった分類ができます。
特殊な入会資格を設けたカード 難易度:★★★☆☆
クレジットカードには、「高校生を除く18歳以上」といったように入会資格が明記されている場合があります。この他に各社で独自に入会資格を設けていて、それが各カードの審査難易度を左右する要因となってきます。
審査が厳しくなるのが“特殊な入会資格”を設けているカードです。例えば「安定した収入がある」と明記されている場合。“安定した”という言葉はかなり抽象的で、このように明記されていると、個人事業主の方は審査に落ちやすかったりします。個人事業主は高所得者が多い一方、低所得者の方も多いためです。高所得者でも、今年は良かったが来年はどうなるかわからない可能性が高いと判断され、会社勤めの方よりも厳しい審査結果をもらいやすいです。
他にも、「ヤングカード」とよばれるクレジットカードは、20代限定となっているものを指すことが多く、この場合、20歳〜29歳までを入会資格としています。つまり、30歳以上はヤングカードに申し込んでも落ちるわけです。審査が厳しいというよりは、30歳以降は資格がなく、それが理由で審査に弾かれてしまいます。
少し厄介なのは「日本国内に在住」と明記されている場合です。これだと海外にお住まいの方は、日本のクレジットカードを作るのが難しくなります。日本国内に在住と明記されていなくても、例えば、カードが本人限定受取郵便で郵送されてきた場合は、契約者本人以外はカードを受け取れないので注意が必要です。
狙い目は平均的な入会資格のカード
入会資格を満たしていない可能性がある場合は、特殊な入会資格を設けているカードを避けるのがベターです。狙い目は、平均的な入会資格を設けているカードです。当サイトで公開した「50社の入会資格の平均を調査」によれば、「高校生を除く18歳以上で、電話連絡が可能な方」を入会資格としているカードが多いことがわかったので、これを平均的な入会資格として考え、カード選びをしていきましょう。
最近は格安スマホの登場により、データ専用SIMのみを利用し、電話番号をもたない人が少なからずいますが、そういった方は「050 Plus」や「SMARTalk」といった無料のIP電話アプリを使えば、050からはじまる電話番号を誰でも取得できますので、電話番号が必要な際にお役立てください。
前年度の営業利益が低調だったカード 難易度:★★☆☆☆
カード会社の審査難易度が常に一定だと思っている方は多いはずです。実は、審査の難易度は毎年少しずつ変化していく傾向があります。例えば、「楽天カード」は審査が甘いと言われてきた代表的なカードですが、ここ1〜2年の間に審査が厳しくなった傾向がみられます。実際に筆者の知人でも楽天カードの審査に落とされた方が2名いました。背景には、営業利益が関係していると筆者は考えています。というのも、当サイトで公開した「楽天カードの過去3年間の審査状況」によれば、営業利益が減益となった2014年度の翌年2015年度に審査に弾かれる方が多かったためです。なので、カード会社の前年度の営業利益が低調だった場合は、その翌年の審査が少し厳しくなる傾向があるといえそうです。
また、楽天カードの場合、「審査が甘いイメージを払拭したい」という考えもあったようです。以前、楽天カードは職業をスナイパーにしても審査に通る、とネット上で噂になったことがありました。このようなイメージを払拭したいと考えるのは当然のことなので、厳正な審査を行っているイメージを定着させたい狙いがあるのでしょう。楽天カードと同様に審査の甘いイメージがあった「イオンカードセレクト」もまた審査が厳しくなっている傾向がみられます。
狙い目は営業利益順調のカード
厳しい審査を避けたいなら、前年度の営業利益が順調だったカード会社のカードを狙うのがおすすめです。「カードの名称 決算公告」と検索し、損益計算書の営業利益または営業収益の欄を見て、直近3年の営業利益の推移を確認してみましょう。営業収益だけが審査に影響をもたらすわけではありませんが、審査難易度を示す一つの指標となるので、ぜひ参考にしてみてください。営業利益とその他の収益との関係については、この下の項目を合わせてお読み頂くことをおすすめします。
広告費にお金をかけすぎているカード 難易度:★★☆☆☆
営業利益との兼ね合いで、もう一つ見ておきたいのが「広告費」です。広告費は、その名のとおり、カード会社が自社のカードを多くの方に知ってもらうために、様々なシーン・媒体にカードの紹介を掲載するための広告費用のことです。CMや雑誌への掲載費用がこれに当たります。広告費は営業利益と同様に損益計算書から確認できますが、“広告費”と記載されていない場合が多いです。「販売費及び一般管理費」の中に広告費が含まれていますのでチェックしてみましょう。
ポイントになるのは、営業利益に対して、販売費及び一般管理費(≒広告費)がかかりすぎていないか、です。販売費及び一般管理費には、社員の給与などの人件費も含まれていますので、ここに費用がかかりすぎると、ランニングコストがかかるカード会員を増やし続けることを懸念し、審査に影響を及ぼす可能性が出てきます。
狙い目は過剰に広告費をかけていないカード
広告費をかけるのは、知名度を上げたい、顧客の獲得に必死になっている、営業利益を拡大したいという狙いがあります。ただし、広告費をかけすぎると営業利益を圧迫することになり、会員数の増加を伸び悩ます原因となってしまうので、狙い目は過剰に広告費をかけていないカードとなります。
販売費及び一般管理費は、社員の給与等の人件費も含まれているので、この項目が広告費全体を示しているわけではないですが、一つの指標になってきます。営業利益に対して程々に広告費をかけていれば、顧客の獲得に必死になっているのとともに、審査に悪影響は及ぼす可能性が低いと判断できます。一方、膨大な広告費用をかける必要がない知名度の高いカードは、運用に予算をかけやすいのでこれもまた狙い目といえるでしょう。
年会費“永年無料”のカード 難易度:★★☆☆☆
カード会社の主な収入源は、キャッシングやリボ払い・分割払いによる「金利収入」、加盟店手数料や提携カード手数料といった「手数料収入」、年会費などの「その他の手数料」です。
“リボ払いのオススメ”と書かれたハガキが自宅に届いたことはありませんか?これは、リボ払いによる継続的な金利収入を得るため、カード会社がよく使う経営戦略です。カード会社の収入源は限られているので、あらゆる経営戦略を用いて、利益を確保するのに必死になっています。年会費もまた、継続的な収入源を得るために設けられたもので、カード会社は喉から手が出るほど年会費が欲しいわけですが、近年は年会費無料のカードが増えてきています。
年会費無料のカードが増えるとともに、一人で複数枚カードを保有するのが当たり前になり、その結果、全く使われないカードが多く出始めました。新しいカードの発行や利用明細書の郵送など、使われていないカードはランニングコストがかかる一方で、カード会社はこういったムダなランニングコストは避けたいと考えています。そこで、本来は年会費有料のカードを初年度は年会費無料とし、翌年以降も利用額に応じて無料にするなどして、なるべく会員へ利用を促す形をとっています。こうした事情から、無条件で収入を得られる年会費有料タイプのほうが新規顧客の受け入れが容易になっていると筆者は考えています。
ただし、最近はまた事情が少し変わってきています。例えば、自社のオンラインショッピングサイトを持っている場合は、自社サイトでの利用拡大を狙えることから、年会費無料で発行しても問題ないと考え、年会費無料カードでも審査が厳しくない事例が増えてきています。その代表的なカードといえるのが、Yahoo!ショッピングやヤフオクでお得に使える「PayPayカード」です。
狙い目は年会費500円〜1,000円程度のカード
狙い目は、年会費が500円〜1,000円程度のカードです。これぐらいなら、利用に応じて貯まるポイントで元がとれる可能性が十分にあります。還元率1%のカードで年会費が500円なら、500ポイント貯まれば元がとれるので、年間5万円のご利用で元がとれる計算です。光熱費や携帯料金など毎月かかる支出をカード決済に変更すれば、年間5万円は容易く達成できる金額です。ゴールドカードの場合は、年会費が5,000〜30,000円ほどかかるので、一般カードの中で選んでいきましょう。余談ですが、年会費有料カードは年会費無料カードに比べ、付帯保険が手厚くなっていることが多いのでおすすめです。
年会費がかかるのがどうしても許せない方は、初年度無料で、翌年以降は条件付きで無料になるタイプを選ぶといいです。カードによって異なりますが、このタイプは年間5〜50万円程度の利用で翌年も年会費が無料になります。中には、前年度に1回でも利用があれば翌年も無料になる「セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カード」のようなカードもあります。初年度無料になるのはインターネット申込限定のものが多いので、申込はインターネットからがおすすめです。
入会キャンペーンを全くしないカード 難易度:★★☆☆☆
入会キャンペーンとは、入会、もしくは入会後の利用などを条件に特典としてポイントを付与するキャンペーンのことです。多くのカード会社で実施されています。入会キャンペーンをなぜ積極的に行うのかというと、新規顧客の獲得に必死になっているからです。カード会社が営業利益を出し続けるには、新規顧客を獲得し、利用によって得られる金利収入や手数料収入を増やす必要があります。そこで、ポイントを付与する入会キャンペーンを実施し、入会を促す形が昨今の主流となりました。
では、入会キャンペーンを行っていないカードはどういう理由で行っていないのでしょう?キャンペーンによって顧客獲得増加を見込めない、既に十分な利益を得ている、などの理由が考えられますが、ここでポイントになってくるのは、“顧客獲得に積極的ではない”という理由だった場合で、この場合、より厳正に審査を行い、優良な顧客のみを獲得することを目的にしていると考えられますので、審査が厳しくなることが予想されます。
狙い目は入会特典1,000pt以上のカード
現在ではほとんどのカードが入会キャンペーンを実施しています。「本当に入会するだけでそんなにポイントがもらえるの??」と思うかもしれませんが、本当です。ただし、“利用特典”の場合は、発行月から○ヶ月以内のご利用で、○回のご利用で最大○○ptゲット、といったように条件がある場合がありますので、事前によく確認しておく必要があります。
入会特典1,000pt以上のものが狙い目になってきます。例えば、「リクルートカード」は、入会特典1,000ptで、利用特典2,000ptとなっていますので、ご入会&ご利用で3,000ptゲットでき、年会費無料カードの中でも屈指のお得感があります。入会特典のポイント数の多さ=新規顧客の獲得に必死になっている証拠といえます。
審査が甘いカードの特徴まとめ
では最後に、ここまで解説してきた審査の甘いクレジットカードの特徴をまとめみましょう。「年会費有料の流通系 or 信販系の一般カードで、特殊な入会資格がなく、営業利益好調&広告費をかけ過ぎていない、入会特典ありのクレジットカード」これが審査の甘いカードの特徴となります。
当サイトで紹介しているクレジットカードの中で、この条件に最も近かったのが「PayPayカード」でした。
PayPayカードは、発行元がワイジェイカード株式会社で、信販系の一般カードになります。ワイジェイカード株式会社は、流通系のソフトバンクの子会社なので、流通系色の強い信販系といえるでしょう。営業収益は、2015年3月期18億円→2016年3月期88億円→2017年3月期157億円と非常に好調なので、2018年の審査に悪影響を及ぼすことは考えにくいです。入会資格は、無料で作成できるYahoo IDを持った高校生を除く18歳以上で、その他に特に特殊な条件はないので、どなたにでもおすすめできます。上記の特徴と異なる点は、年会費が無料であるということだけです。現在、入会特典2,000pt+利用特典5,000pt※のプレゼント企画を常時開催中なので、ぜひチェックしてみてくださいね!