「クレジットカード=1回払い」このイメージを持たれている方は多いのではないでしょうか。他の支払い方法があることは知っているものの、実際には1回払いしか利用したことがない、なんて方も多いかもしれません。
クレジットカードは基本的には1回払いでの利用をおすすめしますが、色々な支払い方法を知っておくことでケースに合わせた支払いが可能になってきます。
特に高額商品の支払いにおいては1回払い以外を選ぶことで負担を軽減できる場合がありますので、クレジットカードは必ずしも1回払いを選ばないといけないわけではないことを知っておいてもらいたいと思います。
今回はクレジットカードの「2回払い」について解説しますが、まずはクレジットカードの主な支払い方法についておさらいしましょう。
クレジットカードの主な支払い方法について
クレジットカードの支払い方法は大きく分けると「1回払い」「分割払い」「ボーナス払い」「リボ払い」に分けることができます。
どの支払い方法を選べるかは店舗によって異なってきますが、すべての支払い方法に対応している店舗で決済する際はあなたが自由に選ぶことができます。
ただし、それぞれの支払い方法にメリット・デメリットがありますので、しっかりと把握したうえで上手に利用していきましょう。
1回払いについて
「1回払い」は、その名のとおり、
締め日の翌月にご利用金額を一括で返済する支払い方法です。
一般的にはこの1回払いがクレジットカードの標準的な支払い方法となっています。1回払いは原則として手数料等かからないのがメリットです。
場合によっては、1回払いしかできない店舗もあったりします。この場合、「1回払いのみ可能ですが宜しいでしょうか?」などと問われます。そもそも、1回払いをできない店舗はないので、クレジットカードを利用するときは1回払いが基本となるということを覚えておくといいでしょう。
ただし、クレジットカードによってはリボ払い専用カードがあり、1回払いができない場合もあるので、クレジットカードを選ぶときには注意が必要です。ただ、リボ払い専用カードでも、あとから1回払いに変更できるカードもあります。
分割払いについて
「分割払い」は、その名のとおり、ご利用金額を何回に分けて分割して返済する支払い方法です。
分割払いとは基本的に“3回以上”に分割する場合を指します。カード会社によって異なりますが、3回・5回・10回・12回…24回といったように最大24回までの分割を可能にしているところが多いです。中には最大32回の分割が可能なカードもあります。
分割払いのデメリットは分割手数料がかかることです。手数料はカード会社によって異なってきます。
例えば、国内大手の三井住友カードの分割手数料は、3回で100円あたり2.01円、5回で100円あたり3.35円、24回で100円あたり16.08円といったように分割回数が多くなればなるほど手数料は多くなってきますので、分割払いを利用する場合は適度な分割回数を選ぶようにしなければなりません。
分割手数料はかかるものの、上手に選べばむしろ大きな味方となってくれるのが分割払いのメリットです。
例えば、さきほどの三井住友カードの分割手数料を例に話をすると、10万円の買い物をする場合、3回払いの手数料は2,010円、24回払いの手数料は16,080円となります。10万円を3回払いにすると1回あたりの支払額は34,003円(※1)、24回払いにすると1回あたりの支払額は4,837円となります。
※1 分割手数料は100,000円×(2.01円÷100円)=2,010円、支払総額は100,000円+2,010円=102,010円、分割支払額は102,010円÷3回=34,003円
※2 分割手数料は100,000円×(16.08円÷100円)=16,080円、支払総額は100,000円+16,080円=116,080円、分割支払額は116,080円÷24回=4,836.66667円=4,837円
分割回数を増やすと1回あたりの支払額が減るので負担が減るように感じますが、分割手数料だけで1万円以上の差が出てしまうことを考えると、分割回数が少ないほうが結果的には負担を減らせることになります。つまり、分割手数料を抑えたければ分割回数は少なくしたほうがいいわけです。
常識的に考えて、10万円の買い物をするにはある程度の金銭的な余裕が必要ですよね。なので、10万円の高額商品を24回=2年間かけて細かく返済するぐらいなら、その品物は今すぐは買わないほうがいいのかもしれません。
もちろん、そこは人によって金銭感覚が異なりますので、10万円のものを24回払いしても何ら問題ありませんが(例:スマホ端末代を24回払いにする)、お金の管理が上手な方は分割払いを利用するときには手数料のことを考えて分割回数を少なくしようと考えるのが普通です。
ボーナス払い
「ボーナス払い」は、ボーナス時期に返済する支払い方法です。
ボーナスの時期まで支払いが猶予されるのが最大のメリットです。例えば、12月に品物を購入する場合、1回払いなら通常は翌月の1月に引き落としとなりますが、12月にボーナス払いすれば、支払いは8月となる(※三井住友カードの場合)ので、最大で9ヶ月も支払いが猶予されることになります。
しかも、ボーナス“一括”払いの場合は手数料がかからないのが大きなメリットとなります。ボーナス一括払いを上手に利用すれば高額商品も安心して購入できるようになるでしょう。
ただし、ボーナス払いの場合、ボーナス2回払いにすると手数料が発生するのでその点はご注意ください。また、ボーナス払いに対応していない店舗もありますので、すべてのケースでボーナス払いが選択できるわけではありません。
リボ払いについて
「リボ払い」は、あらかじめ設定した一定額に分割し、リボ払い手数料を加えて毎月返済する支払い方法です。
高額商品の買い物に向いていますが、返済金額が少ないと支払い回数が増え、それに伴いリボ払い手数料も増えていきますので、便利である反面、支払いの終了時期が見えにくく、知識の乏しい方が利用するには危険な支払い方法といえます。
リボ払い手数料はカード会社にとって大きな収入源となってくることから、リボ払いを勧めるカード会社はかなり多いです。クレジットカードをお持ちの方は「リボ払いのススメ」といったような旨のDMを一度は受け取ったことがあるのではないでしょうか。
リボ払いを1回払いに変更することが可能なカード会社と不可能なカード会社があるので、リボ払いを選択する場合は慎重にならなければなりません。逆に、1回払いをあとからリボ払いに変更することはほとんどのカード会社で可能になっています。
リボ払いについては支払いの延滞の原因となるなど社会問題となっていますので、安易に利用しないことをおすすめします。
クレジットカードの2回払いが最強である理由
ここまで「1回払い」「分割払い」「リボ払い」について簡単に解説してみましたが、このどれにも当てはまらない支払い方法として「2回払い」というものが実在します。
「2回払いって分割払いじゃないの?」と思われた方は多いかもしれません。実はどのカード会社も2回払いを分割払いとして定義していないのです。一般的に分割払いに定義されるのは3回以上からだからです。なぜ、2回払いを分割払いに定義しないのかは2回払いの特徴を知ればすぐに分かります。
実は、クレジットカードの2回払いは原則として手数料がかからないようになっています。分割払いは原則として手数料がかかる支払い方法のことを指しますので、どのカード会社も原則手数料のかからない2回払いを分割払いとして定義していないわけです。
手数料がかからない理由は明らかになっていませんが、この事実を知っているクレジットカード上級者は「クレジットカードは2回払いが最強」と口を揃えて言います。
例えば、夏場に急に冷蔵庫が壊れてしまったとしましょう。あまりにも急なことで蓄えがなく、でも、早く買わないといけない、こういった状況のときに2回払いを選択すれば、支払いを2回に分けることができ、半分は翌月に、残り半分は翌々月まで支払いを先延ばしにできるわけですから、かなりの負担軽減になります。
一応は支払いを2回に分割しているのに分割手数料はかからないわけですから、2回払いが最強と言うのも納得できるのではないでしょうか。
高額商品の買い物をしようと思うときは誰でも迷いますよね。待てるならまだしも、来月、再来月まで待つことができない、そんな場合に2回払いは大活躍してくれるのです。
2回払いの注意点
クレジットカードの2回払いは分割手数料がかからないのが最大のメリットですが、実は2回払いができないところが意外と多いのが大きなデメリットです。2回払いをしたくてもお店側が2回払いに対応していなければ2回払いを選択することはできないわけです。
筆者も高額商品の買い物をする際には2回払いを利用しますが、そういうときに限ってお店側が2回払いに非対応だったりするので、「あぁ残念...」と思ってしまったことが何度かありました。
オンラインならまだしも実店舗で「2回払いで」→「すみません、分割払いは3回以上からです」なんて言われたときは特に恥ずかしかったです(笑)。なので、今は事前に2回払いができるかどうかを確認してから利用するようにしています。
また、利用限度額を超えてしまう場合も2回払いは選択できないので注意が必要です。例えば、利用限度額が10万円のカードで、利用可能額が残り5万円残っている状態で6万円の品物を2回払いで買うことはできない、というわけです。これは1回払いでも他の分割払いでも同じことが言えます。
利用限度額を理由に高額商品の購入を諦めてしまう方は多いですが、カード会社に申請すると利用限度額を一時的に上げてもらえる場合がありますので、高額商品の買い物をする予定がある方で利用限度額をオーバーする可能性がある場合は、すぐに諦めずにまずはカード会社に相談してみるといいです。
クレジットカードの2回払いができるところ
JCBはVISA・MasterCardブランドには及ばないと評価されることが多いですが、筆者がJCBを高く評価しているのは、ユーザーである私たちにとって有益な情報をたくさん発信していることです。
クレジットカードに関する様々な統計を公開していることが多いですが、国内で「2回払いができる加盟店」をJCBが公開していましたので、こちらでも表にまとめておきます。
業種 |
二回払い可能 |
デパート |
・小田急百貨店 ・近鉄百貨店 ・京王百貨店 ・京阪百貨店 ・西武百貨店 ・そごう ・大丸 ・松坂屋 ・高島屋 ・東急百貨店 ・東武百貨店 ・阪神百貨店 ・松屋 ・三越 ・伊勢丹 |
総合スーパー |
・イオン ・イトーヨーカドー ・ダイエー ・パルコ |
ホームセンター |
・東急ハンズ |
家電量販店 |
・コジマ ・Joshin ・ソフマップ ・ビックカメラ ・ヤマダ電機 ・ヨドバシカメラ |
カー用品 |
・イエローハット ・オートバックス ・コクピット ・タイヤ館 |
スポーツ |
・スポーツオーソリティ ・二木ゴルフ ・本間ゴルフ ・ミナミ |
家具・玩具 |
・ニトリ ・日本トイザらス |
衣料 |
・紳士服はるやま ・紳士服マスカット ・SHIPS ・TOMORROWLAND ・BEAMS ・Max Mara ・UNITED ARROWS |
ブランド |
・カルティエ ・グッチ ・シャネル ・プラダ |
旅行 |
・タビックスジャパン ・パシフィックツアーシステムズ |
オンラインショップ |
・SONOKO ・ドクターシーラボ ・夢みつけ隊 ・エプソンダイレクトオンラインショップ ・ゴルフダイジェスト・オンライン ・スタイライフ ・ソースネクスト ・メルカリ |
実際にはもっと様々な店舗で2回払いを選択できるようになっています。ここではあくまでJCBが公開している2回払いができる加盟店を紹介したに過ぎないので、2回払いが選択できるかどうか詳しくは個別に調べるようにしてみてください。
例えば、同じ商品を買う場合で同じ価格なら2回払いができる加盟店を選んだほうが当然いいわけですよね。このように複数の店舗で支払い方法を比較するようにすれば、より賢く買い物ができるようになります。
表をみてわかるように、デパートや家電量販店では2回払いができるところが多いです。デパート・家電量販店はともに高額商品を取り扱っていますので、2回払いができるのはかなり大きなメリットかと思います。
少し意外だったのはカー用品店で2回払いが可能になっている店舗が多いこと。たしかにカー用品はタイヤやオイルなどは安いものではないので、2回払いができるのは大きなメリットになると思います。車検費用や整備費用が2回払いできるかどうかについては店舗にご確認ください。
筆者が個人的に評価しているのはメリカリで2回払いができるところです。例えば、これがライバルのヤフオクになると2回払いはできません。フリマアプリは今しか買えないものがたくさん出ていたりするので、2回払いができたほうが金銭的な余裕があまりないときでも商品を購入しやすいですよね。
クレジットカードの2回払いができないところ
2回払いができないクレジットカード加盟店は実は結構多いです。すべてを挙げるのは不可能ですが、筆者がこれまで利用した誰もが知っている店舗で2回払いできなかったクレジットカード加盟店を紹介しますので、参考程度に留めておいてください。
アップルストア
月額料金を抑えるため、格安SIMを利用するためにアップルストアでiPhoneを購入される方は多いと思います。iPhoneは年々価格が高騰しており、負担軽減のため、新しくiPhoneを買うときに2回払いで購入しようと思いましたが、できませんでした。
3回以上24回未満であれば分割払いは可能となっていましたので、分割にしたい場合は分割回数を少なくして分割手数料を抑える方法を選択するのが最も賢いかもしれません。
分割手数料がそこまで気にならないのであれば24回を選んでもいいと思います。iPhoneなんかは基本的には2年ぐらいは利用していくものですからね。MacはiPhoneよりも高額になることが多いので、こちらも分割払いで購入するのがいいかと思います。
チケットぴあ
ライブチケットは2人以上で取ることが多いので、必然的にチケット代が高くなることがあります。筆者も実際に5人分のライブチケットをチケットぴあで2回払いをしようとしましたが、できませんでした。
ただ、ライブチケット代が複数人分になり高くなったとしても、チケットぴあはセブン-イレブンやファミリーマートで支払えるので、現金を事前に受け取っておけば支払いに困ることはないのかもしれません。
それでも、クレジットカードで支払ったほうがポイントがもらえるので損をした気分にはなります。
JTB
旅行計画中にたまたま良さそうなJTBのプランを見つけ、急だったので2回払いで購入しようとしましたが、できませんでした。
旅行は高額の買い物になりますので、2回払いができなのは痛いですよね。JTBの場合、ボーナス一括払いもできませんでした。3回以上の分割払いは選べましたが、一部商品は選べないようなので利用の際は注意が必要です。
また、同じ系統の旅行代理店では、小田急トラベルや近畿日本ツーリストなども2回払いができないようです。クラブツーリズムや日本旅行も場合によっては2回払いは選択できないようです。旅行代理店は2回払いを敬遠しているようですね。
エディオン
家電量販店では2回払いができる店舗が多いですが、エディオンでは店舗によって2回払いができるできないがあるようで、無条件で2回払いができるとは言えないようです。
ただし、エディオンでは2回払いができても手数料がお客様負担となる場合もあるので、詳しくはそれぞれの店舗に問い合わせたほうが良さそうです。
ボーナス一括払い(手数料無料)が選択できるので、エディオンを利用する際はボーナス一括払いを選ぶのがおすすめかもしれません。少し厳しいことを言わせてもらうと、筆者としては、他社に追随できないような店舗は利用頻度が減る可能性が高いです。
2回払いができないところで2回払いをする方法とは?
2回払いができないところで2回払いする方法を筆者も探してみましたが、残念ながら今のところはありませんでした...。色々な方法を模索してみたのですが、ダメでした。皆さんの力になれなくて申し訳ございません。
例えば、クレジットカードでダイレクトに2回払いができない場所でPaypal(オンライン決済サービス)で支払ってそれを2回払いに変更できないか、カード会社に無理を言って2回払いに変更してもらえないか、など色々な方法を試してみたのですが、いずれも不発に終わってしまいました。
ただし、2回払いできるシーンで確実に2回払いしたいのであれば、VISA・MasterCard・JCBの3つの国際ブランドの中からカード選びをするようにしたほうがいいです。
というのは、アメリカン・エキスプレス・カード(アメックス)やダイナースクラブカードといった外資系のクレジットカードはそもそも2回払いに対応していないからです。
実は、1枚のクレジットカードで複数の支払い方法が選べるのは日本独自だと言われています。1回払い専用のカード、分割払い専用のカードといったように支払い方法によってカードが分けられる国がほとんどなので、複数の支払い方法を自由に選べる点では日本のクレジットカードはかなり優秀といえます。
2回払いができないところで2回払いする方法は現段階ではありませんが、代用としてボーナス一括払いを検討するといいでしょう。ボーナス一括払いは支払いが最大で数ヶ月猶予されるため、2回払いと同じように高額商品の買い物に向いています。
どうしても分割にしたい場合は3回〜5回程度の分割払いを選ぶことを検討してみてください。分割払いは分割手数料がかかりますが、回数が少なければ思ったほどの手数料はかかりませんし、回数が多くても実はそこまで負担にはならないので、何が何でも1回払いでないといけない、なんてことはありません。
ただし、同じ分割払いでもリボ払いはおすすめしません。リボ払い専用カードは審査が甘いなどのメリットがありますが、リボ払いは手数料が通常の分割払いよりも結果的に多くなってしまうことが多いため、クレジットカード初心者はもちろん上級者にもあまりおすすめできません(ただし、セディナカードJiyu!da!のようにリボ払い専用カードでも一括払いに変更できるカードもあります)。
どうでしたか?今回はクレジットカードの2回払いについて解説してきましたが、特に高額商品の購入の際に大きなメリットを享受できることがわかったと思います。2回払いを賢く利用してこれからもクレジットカードを使って生活を豊かにしていきましょう。