「クレジットカードを作りたいのになかなか審査に通らない」と悩んでいる方は多いはずです。何度もカード審査に落ちてしまっている方で、審査に落ちた原因がわからない場合は、一度、「情報開示」をおすすめしたいと思います。個人信用情報機関に対して、情報開示を行うことで、あなたの現在の信用情報を確認できます。
クレジットの意味を知っていますか?
そもそも、クレジットカードの“クレジット”がどういう意味かご存知ですか?これがわかるだけでクレジットカードの審査で何が大事なのかがわかってきます。
クレジット=Creditには“信用”“信頼”という意味があります。つまり、クレジットカードは信用力がある人が作れるカードというわけです。
海外では、支払いはキャッシュ(現金)よりもカードというシステムが成り立っている場合が多く、クレジットカードを保有している=信用力があるとみなされる傾向が強いです。クレジットカードを持ってやっと一人前とも言えるのです。
諸外国で日本よりもカード決済が根付いているのは、偽札が多いこと、また、防犯上の理由からです。カード決済を導入することで、お店側は偽札を掴まされるリスクが減り、消費者は大金を持ち歩く必要がなくなるため治安の悪い地域でも安心できることがメリットとなっています。
一方、日本は偽札が比較的少なく、治安の良いからこそカード決済が根付いてこなかったわけです。しかし、近年はキャッシュレス決済によるポイント還元事業などが行われるなどキャッシュレス決済に注目が集まっており、キャッシュレス決済を利用する方は徐々に増えてきています。
審査に落ちた理由がわからないからこそ信用情報開示を!
クレジットカードの審査に申し込んでみたはいいものの、何度も落ちてしまっている方に多いのが、自分で落ちた原因を特定できないというパターンです。今の時代、大事なのは返済能力であり、収入の大小に関係なくクレジットカードは作れるものですから、収入以外に原因があると考えなければなりません。
そこで「信用情報開示」をしてもらいたいのです。CICやJICCという信用情報を扱う機関に対して、自分の現在の信用情報を確認することができる制度が信用情報開示です。
クレジットカードの発行会社の多くはCICもしくはJICCに加盟しており、そこに共有された個々の過去のクレジットカードの支払い状況やローンの契約内容を確認し、それをカード審査における判断材料としています。
あまり知られていませんが、実は割賦販売法という法律により、クレジットカードの審査を行う際には信用情報会社への照会が義務付けられています。なので、誰でも必ず信用情報は照会されることになるわけです。
参照:CIC加盟会社はこちら
もう少し簡単に仕組みを説明すると、私たちがクレジットカードの審査に申し込むとカード会社はCICやJICCに問い合わせて、私たちの信用情報をチェックし、問題がなければ審査を通過させて、クレジットカードを発行するという形になります。
過去に支払いの遅延をした等の記憶がないのに審査に落ちてしまっていて、原因が特に見当たらないのであれば、情報開示をして、まずは原因を特定させることが審査通過への近道となってきます。
信用情報開示のやり方は思ったよりも簡単!
「信用情報の開示ってなんだか難しそう...」と思っている方は多いでしょうが、安心してください!実は情報開示は誰でも簡単にできちゃうものなのです。方法は大きく分けて「PC・スマホで開示」「郵送で開示」「窓口で開示」の3種類あります。
PC・スマホで開示
この方法が一番簡単です。クレジット契約等に利用・登録している電話番号を使って受付番号を取得します。その受付番号をPCまたはスマホから入力すれば、開示報告書をPDFファイルでダウンロードできます。スマホならいつでもどこでもチェックできるのでとても便利です。ただし、手数料として1,000円かかり、これが本人名義のクレジットカード一括払いに支払いが限定されていますので、クレジットカードを1枚も所有していないとこの方法では開示できません。
郵送で開示
クレジットカードを所有していない場合は、郵送で開示することをおすすめします。開示申込書(プリンターで作成可)、本人確認書類のコピー、手数料(ゆうちょ銀行で発行される定額小為替証書)を用意し、CICへ郵送します。郵送してから10日ほどで開示報告書が簡易書留・親展で到着します。少々面倒ではあるものの、クレカ決済でなくても請求できる点は助かるかと思います。ただし、本人確認等に時間がかかるため、10日ほど時間を要してしまうため、急いでいる方にはあまりおすすめできません。
窓口で開示
開示報告書が即日欲しい場合は、窓口で開示する方法がおすすめです。例えば、CICで開示する場合、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・岡山・福岡にCIC開示窓口がありますので、開示窓口までお越しいただき、タッチパネル端末機を使って手続きすると開示報告書を即日手に入れることができます。開示の際には本人確認書類が必要となり、手数料は500円かかります。ただし、窓口は全国各地にあるわけではないので、窓口がない都府県にお住まいの方には難しい選択肢になるでしょう。
開示報告書の読み取り方
では、開示報告書を手に入れたらどの項目を見るべきなのでしょうか。今回はCICの情報開示をした場合の開示報告書の読み取り方を解説します。「開示報告書の見本」を例にとって解説していきましょう。
実際に開示報告書を見てみると、氏名や年齢、性別、住所、勤務先名、配偶者といった本人の属性をはじめ、クレジットの契約内容、支払状況、割賦販売法の登録内容、貸金業法の登録内容などの情報を確認することができます。
私たちが想像しているよりも細かい情報が記載されていますので、身に覚えのない記録なども細かく確認することができ、審査に落ちてしまった原因が特定しやすくなってきます。
まず、必ずチェックすべき項目が2つあります。それが項目26「返済状況」と下部の「入金状況」です。
項目26「返済状況」
返済状況の欄に「異動」と書かれてある場合は赤信号です。異動は、3カ月以上の支払いの遅れがあることを示します。
クレジットカード会社が最も嫌うのが支払いの延滞ですから、過去に延滞の履歴があると審査に悪影響を及ぼしてしまうことになります。実際に「異動」の記載がある状態でカード審査を受けると落ちやすくなります。
延滞が解消したあとも、情報の保有期間(5〜10年)が過ぎるまで、その情報は記載されてしまいますので、基本的には延滞の事実を作らないことが最も大事になってきます。
ちなみに、延滞だけでなく、保証契約(保証会社が代わりに返済したもの)、破産手続きを開始した場合にも異動と表示されます。支払いが完了すれば、項目31「終了状況」に「完了」と表示されます。
項目「入金状況」
入金状況の欄は、クレジット会社等への入金状況を記号で示しています。各記号の意味は以下のようになっています。
- $:請求額の入金を確認
- P:請求額の一部入金を確認
- R:お客様以外からの入金確認
- A:お客様事情による未入金
- B:お客様事情に無関係で未入金
- C:未入金かつ未入金の理由が不明
- -:請求がなく未入金
- 空欄:情報更新がされていない
「$」が記載されていれば基本的には大丈夫です。「P」〜「C」が記載されている場合は支払いに問題があった事実が記録されていることになりますので黄色信号です。「C」へ向かうに連れて審査は赤信号に向かっていくと思ったほうがいでしょう。
「-」の場合は単に利用していないだけなので問題ありませんが、クレヒス(※クレジットカードやローンの利用実績のこと)が乏しい方はクレヒスを構築するためにクレジットカードやローンを利用したほうがいいでしょう。
ここまでで問題がなさそうなら、以下の3つの項目もチェックしてみましょう。
項目13「契約の内容」
契約の内容については「カード等」「個品割賦」「リース」「保証契約」「無保証融資」「保証融資」「住宅ローン」「移管債権」のいずれかが表示されているはずです。
身に覚えのない契約がある場合は、CICへ確認するのではなく、思い当たる節を見つけて必ず個別に確認をとり、現状を確認しましょう。CICに確認をとっても「詳細はわかりません」と言われるだけです。
ここで特に問題になるのが「保証契約」です。保証契約というのは保証会社が代わりに返済した、という記録なので、返済ができなくなった過去があるという意味になり、この場合、信用情報に大きく傷がつきクレジットカードの審査に悪影響を及ぼす可能性が高くなってしまうので注意が必要です。
項目16「支払回数」
例えば、項目13で「カード等」と記載されており、項目16で「リボ」と表示されている場合は、クレジットカードでリボ払いをしているということになります。
リボ払いは、毎月の支払いを一定に抑える返済方法ですが、支払いの終了時期が見えにくいこと、リボ払い手数料によって結果的に支払総額が多くなってしまうなど、初心者にとっては大敵な返済方法となりますので、初心者ほど避けたほうがいいです。
リボ払いはカード会社が認可している返済方法ですが、長い期間、カード会社に支払いの建て替えを行っている状態なので、リボ払いの残金が多くなればなるほどカード審査では悪影響を及ぼす可能性が出てきます。
項目32「割賦残債額」・項目34「支払遅延有無」
まず項目32「割賦残債額」についてですが、例えば、携帯電話を割賦契約(分割払い)で購入している場合、残りの金額が表示されているはずです。他にも、ショッピングの際にクレジットカードを使って分割払いした場合にも同じことがいえます。
あまりにも割賦残債額が多く残っていると、まだ支払っていない返済分が相当残っており、今後、支払いに苦労する=返済能力がそこまで高くないと判断されてしまうなど、カード審査への影響は少なからずあるといえるでしょう。
項目34「支払遅延有無」については、割賦契約で購入した品物の支払の遅れの有無が表示されます。もちろん、支払いに遅延があれば審査へ悪影響を及ぼす可能性が高くなるので注意が必要です。
消費者金融やキャッシング等を利用している場合、これらは貸金業法に該当しますので、この場合は項目36「残高」と項目45「遅延有無」をチェックしましょう。他社からの借り入れはカード審査において悪影響を及ぼしやすいので完済していることが望まれます。
その他のCICの開示報告書の項目の解説はこちらをご覧ください。
最も大事なのは状況を改善させること
「情報開示をして原因がなんとなくわかった」←これで終わらせてはいけません。そのままでは、状況は何ら変わらず、また、クレジットカードの審査に落ちてしまうことになるでしょう。少しでも良い結果をもらうために、今できる最大限のことをするようにしましょう。
現在進行系で支払いの延滞がある場合は、まずはそこから解消させていく必要があります。複数ある場合は、一気に返済することは不可能でしょうから、解消できるものから解消させましょう。
クレジットカードを使うときにも言えることですが、お金に関しては計画的に使わないとどこかでズレが生じてしまうものです。支払いの延滞がある場合は、無理のない範囲で月々の出費から削れるところを削り、なるべく返済に回せるようにしましょう。
例えば、今月分の支払いが遅れそうになった場合、自らカード会社に連絡を入れてみてください。すると、返済期日を延長してもらえたり、便宜を図ってくれる場合があります。自ら連絡を入れることで印象の悪化を防げる場合があるので、カード会社からの連絡をまたずこちらからコンタクトをとってみるのも一つの手です。
少し厳しいことを言いますが、多くの方はクレジットカードの支払いの期日を守ることは普通にできているのです。それができるから、今でもクレジットカードを持つことができているわけです。これからクレジットカードを持ちたいと思っている方は、まずは意識改革から行うべきです。クレジットカードを魔法のカードと呼ぶのはもうやめにしましょう。