近年、クレジットカード事業に参入経験のない企業がクレジットカードを発表することが増えています。その代表例がアップルカードです。ネーミングからもわかるように、iPhoneなどでおなじみのアメリカのアップル社が開発したクレジットカードで、日本での導入も期待されています。
そして、ここに来てあの世界的企業もカード事業の参入に名乗りを上げました。それが中国の通信機器の大手メーカー「ファーウェイ(HUAWEI)」です。日本ではまだ聞いたことがない方が多いかもしれませんが、通信機器分野において世界で台頭しており、ワールドワイドな企業として知られています。
気になるのは、ファーウェイカードがアップルカードのように日本市場を脅かす存在となるのか、ではないでしょうか。そこで今回はファーウェイカードの特徴やアップルカードとの比較、日本市場に与える影響などを考えてみたいと思います。
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ファーウェイは中国の通信機器大手メーカー
まず知っておきたいのは、「ファーウェイ(HUAWEI)」がどのような会社であるか、ということです。
ファーウェイは、中国の深セン市に本拠を置く通信機器大手メーカーです。実は日本市場に参入したのは2007年と意外にも古く、現在でも日本向けのスマートフォンなどモバイル端末を多く輩出しています。
スマートフォンに関して、多くの日本人は国産メーカーまたは米国メーカー(アップル)を好む傾向があるため、ファーウェイを知らない方は未だに多いですが、過去には世界占有率でアップルを抜いて第二位になったこともあるほど世界では有名な通信機器メーカーとなっています。
ファーウェイの創業は1987年と、歴史が意外にも浅いことに驚かされます、元中国人民解放軍所属の軍事技術関係者が集って創設したと言われています。30年ちょっとで世界的な通信機器メーカーになるとは当時は誰も想像できなかったはずです。現在の中国のものづくりの技術の高さが伺えます。
ファーウェイが日本でも話題となったのは、2019年5月にアメリカのトランプ大統領が安全保障上の脅威があるとして通信機器の調達を禁止する大統領令に署名したことです。これにより米中貿易戦争がさらに激化することになったのは記憶に新しいです。
大統領令が発令されるほどファーウェイをはじめとした中国メーカーにあのアメリカが脅威を感じていたということです。事実、ファーウェイは世界各国に対し、AIや5Gといった次世代技術の実用化を手助けしているため、主導権を握られたくないとアメリカが焦りを感じるのも無理はありません。
ファーウェイが決済カード事業参入を発表
ファーウェイは、2020年4月8日「HUAWEI Card(ファーウェイカード)」と称したファーウェイ発の決済カードを発表し、カード事業の参入を表明しました。
発表時点での情報は少なかったものの、現時点でわかっているのはファーウェイカードはファーウェイのペイメントサービスであるHUAWEI Payと紐づけして利用する決済カードとなっており、中国国内のみでの発行となることが明らかになっています。
そもそも、HUAWEI Payは中国をはじめ、香港、マカオ、ロシアでしかサービスを展開していませんので(2020年5月時点)、これらの国以外でのサービスは実現しない可能性が高いです。
それでもクレジットカードカード愛好家として、通信機器メーカー大手のファーウェイが輩出する決済カードはどのようなものか興味津々です。日本メーカーが到底できないようなことを中国メーカーはこれまでにもやってきたわけですから、ファーウェイにも期待せずにはいられません。
ファーウェイカードの特徴
ファーウェイカードがどのような決済カードになるのか発表時点でわかっていることをまとめてみましたので一緒にチェックしていきましょう。
年会費有料
まず気になったのは、年会費が有料になることです。近年は年会費無料のカードでもしっかりとサービスを受けられるものが増えてきているため、あえて年会費を有料に設定するのに懐疑的な声が少なからずあります。最低限のサービスでいいので無料にしてほしい、という声は多いです。
「年会費有料」この一言を耳にしただけで「じゃあ、作らなくていいや」と思ってしまう方はかなり多いでしょう。これまで年会費有料のカードを保有したことがない方は年会費がかかることにすごく躊躇してしまうはずです。このあたりがファーウェイカードの人気を左右する要因となりそうです。
年会費が発生するのであれば、より上質なサービスを受けられるようにしてもらいたいものです。ただ、発表時点でのサービス内容を見てみるとまだそこまでサービスの質が高いとは言えない状況です。それでもまだ未発表のサービスも多いでしょうから、追加情報を待ちたいところです。
また、年会費に関しては、Huawei Pay利用によって2年目以降は無料になるとのことなので、Huawei Payを頻繁に利用する層には嬉しい発表となりました。とはいえ、2020年5月時点では日本ではHuawei Payは導入されていませんので、ファーウェイカードが上陸することになったらそれと合わせてHuawei Payの導入も欠かせなくなるでしょう。
物理カードを提供
ファーウェイカードは、物理カードの提供が発表されています。「それって当たり前じゃない?」と思うかもしれませんが、実はこの考え方をするのは日本ならではと言えるかもしれません。というのも、中国国内からは「モバイルの時代に時代錯誤だ」という声もあるからです。
中国では日本とは比較にならないほどモバイル決済が普及しており、あらゆるシーンでスマホひとつで決済できる世の中になってきているため、今さら物理カードを作る必要があるのかと疑問視されています。
中国がここまでモバイル決済を普及できた背景には、中国という広大な土地すべてに銀行やATMをくまなく設置するのが難しいこと、さらに偽札の多さなどが問題となり、モバイル決済が急速に普及したと言われています。
物理カードを登場させる理由の一つとしてアップルカードへの対抗が噂されています。ご存知のように中国とアメリカはあらゆる分野でライバル関係にあり、話題となったアップルカードに負けじとファーウェイカードを発表したのではないか、と言われています。実際は、物理カードを提供することでモバイル決済に非対応のお店でも使えるようにすることを念頭に置いたものだと考えられます。
当のアップルカードはチタン製のカードを提供するなどしてかなり話題になっていますので、ファーウェイカードも特殊素材で作られることを期待したいところです。このあたりは革新的な中国メーカーなのでついつい期待してしまいます。
スマートフォンに取り込める
モバイル決済が普及している中国市場に合わせ、当然ながらファーウェイカードはスマートフォンに取り込めるようになっています。
例えば、日本でもiPhoneの中に様々なカード会社のクレジットカードを取り込めるように、ファーウェイカードもスマートフォンに取り込んでモバイル決済が可能になります。
これについてはアップルカードに対抗したという側面もありますが、単純に物理カードとバーチャルカードの両者を用意することによって、より様々なシーンで利用できるようにするのが狙いでしょう。
バーチャルカードのほうが盗難リスクが減るなど安心感がありますので、中国ではどちらかといえばバーチャルカードのほうが利用率が高くなることが予想されます。
セキュリティーが高い
日本人としてとても気になるのはセキュリティーについてです。「中国メーカーはセキュリティーに不安がある」と漠然ではあるものの、日本ではそういったネガティブなイメージを持たれている方が多いです。
実は日本ではクレジットカードの不正利用の被害額は年々増えており、まだ被害に遭われたことがない方も多いかもしれませんが、着実に身近な問題となりつつあります。今後、キャッシュレス決済はさらに普及していくはずなので、セキュリティーについてしっかりと目を向けるのはとても大事なことです。
セキュリティー力を評価するうえで一つ判断材料となるのは、ファーウェイカードの券面には氏名のみが刻印されておりカード番号の表記がないことです。実はこれについてはアップルカードと同じ仕様となっています。
なぜカード番号が記載されていないのか、というと、ICチップにカード情報をすべて集約できるからです。言い換えると、カード情報が記載されていないため他人にカード情報を盗み見される心配がなくなり、不正利用される可能性も低くなるのです。
オンラインショッピングサイトによっては、カード番号とセキュリティーコード、氏名、この3つの情報でカード決済ができてしまうことがあるため、カード番号を記載しないだけでもセキュリティー力を強化することができます。
ちなみにアップルカードはiPhoneにカード情報を集約する仕組みとなっているため、iPhone自体に顔認証や指紋認証を設定しておくことでかなり万全のセキュリティー対策が可能になります。ファーウェイカードについてもこのような仕組みになるのではないでしょうか。
空港や駅のラウンジが利用できる
筆者が最も驚いたのは、ファーウェイカードには空港や高速鉄道駅のラウンジを利用できる権利が付帯することでした。年会費を払う対価はちゃんと得られるようなので安心しました。
空港ラウンジは日本では主にゴールドカード以上のグレードから利用できる特典となりますので、この点に関してはファーウェイカードはゴールドカードと肩を並べることになります。
特に高速鉄道駅のラウンジが利用できるのは中国ならではです。中国が広大な土地を有することは周知の事実ですが、中国国内の移動に鉄道を使われる方がとても多いため、駅のラウンジを使いたいと考える層も多いのでしょう。
鉄道だけに少し脱線してもいいでしょうか(笑)。2007年にNHKで中国国内の片道36,000kmのルートをただひたすら鉄道で駆け巡る「中国鉄道大紀行」という番組があり、筆者は全話見たのですが、そのときに中国国内の移動に鉄道は欠かせないと感じたことを思い出しました。
もちろん、飛行機の国内線を使えば様々な地域へ移動はできますが、あまりにも土地が広大なので隅々まで行き渡るために日本以上に鉄道が重視されているのです。だからこそ、格安航空が台頭している今でも鉄道の利用者は多いのです。
鉄道は飛行機に比べて運賃も安いため、多くの方が利用します。そのため、常に車内がギュウギュウで、席の取り合いになっていたのが印象的でした。特に大型連休などには利用者が増え、とても利用環境が良いとは言えない状況になるため、だからこそ駅のラウンジの需要はかなり高く、このようなサービスが付帯されることになったのでしょう。
国際ブランドは銀聯と提携
ファーウェイカードがどの国際ブランドと提携するか予想してみてください。きっと多くの方がある国際ブランドを挙げるはずです。そうです、誰もが予想したとおり、ファーウェイカードは「銀聯(ぎんれん)=Union Pay」と提携することが明らかになっています。
銀聯は中国発の国際ブランドです。中国を代表する通信機器メーカーであるファーウェイが開発した決済カードですから、同じ中国ブランドである銀聯と提携することは誰もが予想できたことでしょう。
銀聯を知らない方は意外と多いですが、実は中国でのシェアは9割を超えると言われている巨大国際ブランドで、加盟店は2,000万店以上と言われ、発行枚数は50億枚を超えると言われています。
現在、二大国際ブランドとして知られているのはVISAとMastercardですが、実は銀聯はMastercardよりも取扱件数のシェアは高いと言われています。なので、本当の二大国際ブランドはVISAと銀聯なのではないか、という声もあるほど銀聯は台頭しています。
中国国内で9割を超える国際ブランドなので、同じ中国ブランドであるファーウェイカードと銀聯が提携するのは至極当然のことだったと言えるでしょう。
デビットカード仕様になる可能性が高い
ファーウェイカードはデビットカード仕様になる可能性が極めて高いと言われています。
というのも、ファーウェイカードと提携する国際ブランド「銀聯」は基本的に銀行口座と連携して直接引き落とす仕組みをとっているため、その実態はデビットカードだと言われているからです。
実際に中国で発行されているキャッシュカードのほとんどが銀聯と提携しているため、中国人の間では「キャッシュカードがあれば銀聯がついているから世界中で買い物できる」という認識が広まっているそうです。
銀聯が他の国際ブランドとは少し事情が違うことを知らなかった方は多いのではないでしょうか。この機会に銀聯の存在を認知しておくといいでしょう。
ちなみに、デビットカードとは銀行口座と直結しているカードで、買い物をしたら即座に決済が行われるため、口座残高以上の支払いができないのが特徴的です。つまり、返済能力を超える支払いができないため、審査なしで作ることができるのが最大の魅力というわけです。
ということは、ファーウェイカードも審査なしで作れる決済カードとなるのでしょうか?となると、日本に上陸することになれば、審査なしという側面から飛びつく方は少なからずいるでしょう。日本のクレジットカードは比較的審査が厳しい傾向があるため、審査がなくなればより手軽に保有できますからね。
ファーウェイカードとアップルカードを比較
ファーウェイカードはアップルカードの対抗馬として期待されている部分があります。では、2つの券種を比較してみましょう。
ファーウェイカード(CN仕様) | アップルカード(US仕様) | |
---|---|---|
種類 | デビットカード | クレジットカード |
年会費 | 有料 | 無料 |
還元率 | 不明 | 1.0〜3.0% |
国際ブランド | 銀聯 | Mastercard |
物理カード | あり | あり |
スマホ取込 | 可 | 可 |
セキュリティー | 高いが不安あり | 高い |
ラウンジ | 可 | 不可 |
ファーウェイカードとアップルカードを様々な項目で比較してみたところ、実に面白い結果となりました。結論からいえば、「ファーウェイカードとアップルカードは全くの別物」と結論づけていいのではないでしょうか。
まず、仕様が全く異なります。デビットカードは銀行口座と連携するので口座残高以上は利用できない点から審査が不要なのに対し、クレジットカードは与えられた利用可能枠の範囲内で利用でき返済能力を超える利用ができてしまうため審査が必要になるため、この時点で別物だと捉えることができます。
年会費については、ファーウェイカードが有料で、アップルカードは無料です。アップルカードは、日本ではプラチナカードクラス以上のカードに採用されるチタン製のカードとなっていますので、それで無料なのがすごいところなのですが、ファーウェイカードについては発表時点では詳しいカードの素材は明らかになっていません。
還元率のついては、ファーウェイカードの還元率が明らかになっていませんが、デビットカード仕様となればおそらく高還元率とはならないでしょう。日本でのデビットカードの平均的な還元率は0.5%前後なので、アップルカードの1.0〜3.0%の還元率に対抗するのは難しいでしょう。
共通点としては、どちらも物理カードがあり、スマホへの取り込みが可能になっていますが、これらは近年のキャッシュレス時代に即した仕様なので、共通点というよりも当然の仕様といえるでしょう。
ファーウェイカードはラウンジの利用ができるなど魅力的なポイントはあるものの、日本人の中国メーカーに対する不信感などもあり、セキュリティーの面でもアップルと比較するといまいち信用できないと思われているため、全体的な評価としてはアップルカードのほうが秀でているところが多いです。
ファーウェイカードが日本市場を脅かさない理由
弱点はありながらも、世界的企業が作り出した決済カードということもあり、今後注目されるであろうファーウェイカードですが、筆者は個人的に日本市場を脅かすまでの存在にはならないと感じています。その理由はいくつかあります。
そもそも上陸しない可能性が高い
先述したように、ファーウェイカードはHUAWEI Payと紐づけて利用するため、HUAWEI Payが提供されていない日本に上陸する可能性は低いです。上陸しなければ利用したくても利用できないわけですから、これではどうしようもありません。
ただ、正式に上陸しなくても、例えば、中国国内にお住まいの方であればファーウェイカードを作ることは可能でしょうから、国際ブランドの銀聯と提携していることを考えれば、ファーウェイカードそのものを日本で利用することは可能になると予想されます。
日本在住だと手に入れるのが難しいというだけの話です。しかし、入手するのが難しいファーウェイカードをやっとの思いで入手し、それをあえて日本で使うメリットがあるのか、と言われるとほとんどないでしょうから、基本的には日本在住の日本人にはおすすめできません。
もし上陸することになっても、デビットカード仕様であれば他に良いデビットカードが選択肢としてたくさんあるので、あえてファーウェイカードを選ぶのはかなりマニアックな人だけかと思います。今デビットカードを選ぶなら、楽天銀行VISAデビットカード(還元率1.0%)やSony Bank Wallet(還元率0.5〜2.0%)あたりを狙うほうが賢明です。
ファーウェイを信用していない日本人が多い
ファーウェイはスマートフォンをはじめ、タブレット、PC、スマートウォッチ、イヤホンなどを販売していますが、日本ではファーウェイ製品を使ったことがある方は少ないです。通信機器に対して、日本では国産メーカーへの信頼が厚いため、今までに使ったことがないメーカーに対する不安を抱きがちです。
それが中国メーカーとなるとさらに不安を抱く方が多くなるはずです。最近でこそ、ハイアールやハイセンスといった家電メーカーが日本の家電量販店でもよく見られ、評価も上がってきていますが、「セキュリティーで安心できるのは国産メーカー」と考えている方が多いですよね。
例えば、アメリカでは安全保障上のリスクがあると懸念されるなど、ファーウェイに対しての風当たりは強くなっています。アメリカと同盟関係にある日本ではこのようなネガティブなニュースはたちまち話題になり、そのたびに中国メーカーへの信頼が失われているように感じます。
中国=不安、というイメージは捨てなくてはなりません。例えば、「銀聯(ぎんれん)」は立派な中国発の国際ブランドで、世界中で認知されています。国際ブランドは全7種類あり、アメリカ(VISA・Mastercard・American Express・Diner Club・Discover)、日本(JCB)、中国(銀聯)のたった3ヶ国で世界中のシェアを占めているわけですから、中国も信頼をしっかりと勝ち取っているわけです。
近年、日本では中国人観光客の増加に備え、銀聯に対応するお店が増えてきています。中国は日本に比べてキャッシュレス決済が普及しているため、観光地では特にインバウンド需要への備えとして銀聯への対応が必須となってきています。中国に対して偏見ばかりもっていると、日本は取り残され、いずれは世界のスタンダードが中国になってしまうかもしれません。
圧倒的な魅力的な点があるわけではない
ファーウェイカードに関しては、現時点では“ちょっと気になる程度”で“圧倒的な魅力的な点はない”と言えるのではないでしょうか。
例えば、アップルカードの場合はチタン製のカードが最大の魅力です。チタン製のカードは日本ではプラチナカードクラス以上のカードに採用される特殊な素材で、実際に手にとって見ると重厚感が違うので、プラスチックカードと比べて圧倒的な高級感があり、保有するだけで特別感があります。
チタンは金ほどの資産的価値はありませんが、レアメタルに該当しますので、希少な素材です。そのチタン製カードをアップルカードは無料で提供してくれるわけですから、欲しいと感じる方が多いのも納得できます。日本で導入することが発表されれば、多くの方が申し込むことが予想され、発行まで数ヶ月待ちなんてことになってもおかしくないです。
対して、ファーウェイカードは「ココがスゴイ!」という部分がほとんどありません。空港や駅のラウンジを利用できる点は驚きましたが、日本の高ステータスカードには空港ラウンジ無料サービスが付帯しているものが結構多いので、そこまで魅力を感じないのが正直なところです。
発表時点では還元率が発表されていませんでしたので、他を凌駕するような還元率になれば魅力はアップするでしょうが、デビットカード仕様なので還元率もあまり期待できないです。
あらゆる点で通常のクレジットカードに劣る
まず、ファーウェイカードはクレジットカード仕様ではなくデビットカード仕様となる可能性が高いことを覚えておきましょう。この時点でクレジットカードに劣る可能性が高いことは明らかです。
年会費がかかるうえ、ステータスもなければ、サービスにもあまり期待できず、中国メーカーなのでセキュリティーに関しても不安は残る、という点から普通の日本のクレジットカードにあらゆる点で劣ってしまいます。
それなら普通のクレジットカードを作ったほうがいいのではないか、という結論に至ります。実際、日本で発行されるクレジットカードは世界的にみてもかなり優秀です。年会費無料なのに還元率1.0%を超えるカードがあれば、旅行傷害保険が付帯していたり、ショッピング保険もしっかりとしていて、サポートデスクの質も高い、こんなクレジットカードは海外ではほとんど見られません。
「還元率は結局悪くなるから現金でいいんだよ」なんてことを言う方が最近は多いですが、還元率というのはあくまでオマケ的な存在で、それ以上に様々なサービスを受けられるのがメリットなので、日本のクレジットカードは本当に優秀だということをこの機会に再認識してもらいたいものです。
ファーウェイカードが上陸したら作るべき?
「ファーウェイカードが日本に上陸した作るべき?」と質問されたら、筆者は「基本的には作らなくてもいい」と答える予定です(笑)。
あえて“基本的には”とつけたのは、ファーウェイをよほど愛している人でなければ作る意味がほとんどないからです。
スマートフォンやタブレット、スマートウォッチなどをファーウェイ製品で揃えている方はファーウェイカードを紐付けることでメリットを得られる可能性がありますが、それ以外の方はほとんどメリットを享受できない可能性が高いのでおすすめできません。
ファーウェイカードはデビットカード仕様となる可能性が高いので、デビットカード仕様になるなら、他の国内メーカーが出しているデビットカードを選んだほうがいいです。
例えば、Sony Bank WALLETなら年会費無料で還元率は0.5%、さらに、ATM出金手数料無料、振込手数料も回数制限で無料になるなど、デビットカードの中でもサービスがいいです。
国内メーカーのデビットカードに目を向けてみるといいものが結構多いので、是非チェックしてみてください。
それでも羨ましい中国のモバイル決済事情
今回、残念ながらファーウェイカードに関してはそこまで魅力を感じることはできませんでしたが、やはり、中国のモバイル決済事情はかなり羨ましいと感じざるを得ません。
調査によれば、2017年の中国のモバイル決済ユーザーは5億6,200万人にのぼり、取引規模は202兆9000億元に達したそうです。2011年のモバイル決済取引規模が1兆元だったことを考えると、そこからたった7年で202倍にもなったということで、規模の大きさが伺えます。
中国でここまで急速にモバイル決済が普及したのは、スマホの普及が大きかったと言われています。スマホの普及にあわせ、キャッシュレス決済ができる環境を整えたことで、多くの中国人がスマホ=キャッシュレス決済ができる便利なツールと認識することになったと言われています。
また、中国は土地があまりにも広大なので、各地に銀行やATMを設置するよりもキャッシュレス決済を普及させたほうが効率がいいと考え、それが今日の驚異のキャッシュレス利用率を誇る結果となったとも言われています。
中国のモバイル決済サービスの代名詞といえば「Alipay(アリペイ)」と「WeChatPay(ウィチャットペイ)」の2つです。この2つの決済サービスが中国国内のシェアの92.53%を占めるそうです。驚きなのは、AlipayとWeChatPayが日本でも使えるようになっていることです。
AlipayはPayPayと提携していますので、PayPayが利用できるお店でAlipayも利用できます。PayPayは国内でトップクラスの加盟店数を誇るQRコード決済サービスですから、中国人観光客や中国人留学生は日本のPayPay加盟店でAlipayで支払えることをかなり便利だと感じているようです。
Wechatpayに関してはドン・キホーテをはじめ、タクシー、国内の主要空港などで使えるシーンが増えてきていますので、こちらも中国人の方に喜ばれています。
日本はキャッシュレス決済後進国なので、現金しか使えないイメージが強く、これまでは外貨両替が必須で両替手数料で観光客は損をしていました。それが今ではモバイル決済サービスが利用できるようになったことでそういった損をせずに済むようになっているのです。
では、日本のQRコード決済サービスが海外で使えるのか、と言われるとまだそこまではきていませんよね。将来的にそうなる可能性も低いです。日本では未だにキャッシュレス決済すら非対応のお店がたくさんありますので、まずはそこから改善していく必要がありそうです。そのためにも加盟店手数料を下げるなどカード会社の大胆な施策に期待したいものです。