昨今、海外のネット通販を利用する方が増えてきています。筆者もここ数年で海外通販サイトを利用する機会が激増しました。日本語対応の海外通販サイトも徐々に増えてきており、日本の大きなマーケットを無視できない状況になりつつあります。しかし、未だに日本語に非対応の通販サイトが多いのも事実で、トラブルに巻き込まれる方も少なくありません。
そこで今回は、海外通販サイト利用時に起こったトラブルの実例とその解決策を紹介していきます。さらに、海外通販サイトを利用した際の為替レートや手数料、決済の流れなども紹介していきますので、利用を検討されている方はぜひチェックしてみてください。
海外通販で多いトラブルの実例と解決策
海外のネット通販サイトを利用した際のトラブルは意外と多いです。まず大事なのは、日本と海外を一緒にしてはいけないことです。日本では起こりえないようなことが海外では普通に起こってしまうので、十分に注意したうえで利用しなければなりません。では、実際にどのようなトラブルが起こり得るのでしょうか。
CASE1:クレジットカードが使えない
トラブルとして最も多いのがクレジットカードが使えないという事例です。クレジットカードが使用できない原因としてまず考えられるのは、「不正使用検知システム」の発動です。不正使用検知システムは、その名のとおり、不正な取引をしようとした際に発動するシステムで、このシステムが発動することで、取引が全くできなくなってしまいます。
しかし、「自分で決済するのにどうして不正使用として検知されるの?」と疑問が生じてくるはずです。例えば、普段ほとんどカードが使用されていないのに突然海外のサイトで決済される、といった異質な動きがあると不正使用検知システムは発動してしまいます。普段からカードを頻繁に利用していればこのようなことにはなりにくいので、普段からカードを適度に利用することが解決策となります。また、万が一、不正使用検知システムが発動しても、カード会社から連絡がきて不正使用ではない旨を告げると取引が再開できますので、ご安心ください。
もう一つの原因として考えられるのが、国際ブランドが非対応だったということが挙げられます。VISAをはじめ、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、銀聯などを国際ブランドと呼びますが、例えば、海外通販サイトがVISAとMasterCardしか対応していなければ、JCBでは決済できないことになります。海外通販サイトでは特にJCBに非対応な場合が意外と多いので、お手持ちのクレジットカードの国際ブランドと利用したい海外通販サイトの取扱国際ブランドをチェックして利用してください。
限度額が上限に達していた場合もカードが使えなくなってしまいます。クレジットカードには通常、限度額が設けられており、この範囲内で使用することができます。限度額が30万円だとしたらそれ以上の金額の買い物はできません。直近で大きな買い物をしたりして限度額が上限に達していないかチェックしてみましょう。限度額の引き上げは一時的に行うことが可能なので、適宜、カード会社へ連絡しましょう。
CASE2:CVVがわからなく決済できなかった
意外と多いのが、自分のミスで決済ができなかっただけ、という事例。ウェブサイトが全て英語だったりすると、どうしても意味がわからない部分は出てきてしまうものです。その中で特に多いトラブルとして「CVVが何のことかわからなかった」という事例があります。
CVVはセキュリティーコードのことで、通常はカードの裏面に3桁の数字(例:123)が印字されています。American Expressのみ4カード表面に4桁の数字が印字されているので注意してください。国内も海外もネット通販の決済時にCVV=セキュリティーコードの入力が求められますので、今一度、クレジットカードの裏面もしくは表面をチェックし、数字を把握しておくようにしましょう。
ちなみにですが、CVV以外の表記として「CVC」「CVV」「CVV2」「SECURITY CODE」「CARD VERIFICATION NUMBER」と記載される場合もありますので、覚えておくといいでしょう。PCの場合、Chromeならブラウザ上で「右クリック」→「日本語に翻訳」の手順で、外国語のウェブサイトを日本語に翻訳することが可能なので、適宜、利用することをおすすめします。
CASE3:関税をとられてしまった
「事前にカード決済したはずなのに受け取り時にお金を取られた」と嘆く方がいます。実はこれが「関税」です。関税とは、外国から入ってきた品物に対して課される税のことで、国内産業の保護を目的に課される税のため、避けようがないのが現状です。
例えば、日本の場合、為替レートによって円高時には外国から安く品物を仕入れることができますので、関税がなくなってしまうと国内の産業に大きなダメージを追わせてしまうことから、関税は非常に大事な税の一つとなっています。外交政策でよく関税の話が持ち上がるのはこのためです。
品物の購入価格が日本円で16,666円以上(課税対象額10,000円)の場合は、関税がかかってきます。しかし、場合によって関税がかからないこともありますので、関税がかかる否かはケースバイケースと思ったほうがいいです。
CASE4:荷物が破損していた
海外通販サイトを利用するうえで心得ておきたいのは、日本国内のサービスとは全く異なるということです。それはお店自体にもいえますし、宅配業者にもいえることで、特に海外の宅配業者は、トラックや輸送機、輸送船に荷物を投げ入れるような場合がありますので、自宅に届いたときには荷物が破損してしまっていた、なんてことがよくあります。箱が潰れるのは日常茶飯事ぐらいに思っていたほうがいいです。
では、荷物が破損していた場合、どうすればいいのでしょうか。残念ながら、現時点で荷物の破損時の効果的な対策法はありません。海外の宅配業者が日本のように荷物を丁寧に扱ってくれるようにならなければ、今のこの現状を変えることはできないでしょう。賠償請求は差出人が行うものなので受取人の私たちができることはほぼないですが、差出人が賠償請求を行うのは非常に稀なことなので期待できません。
解決策として一つ考えられるのは、ガラス製品や陶器、サングラス、時計、アクセサリーといった破損しやすいものを購入しないことです。差出人が賠償請求を行うことが稀であることを考えると、高額になればなるほどこれらの商品は避けるのが賢明と言えます。
大規模な海外通販サイトであれば、破損していた場合に返品・交換を受け付けている場合があります。そのような場合は、ガイドに従って返品・交換の手続きをしてください。しかし、英語での対応を求められたり、さらに時間を要することになることを考えると面倒は避けられません。
CASE5:荷物が一切届かない
荷物が一切届く気配がない、というトラブルは少なくありません。筆者も実際に経験したことがあります。一番困るのは、荷物が届いていないのに決済が済んでしまっている場合です。このような場合、カード会社や決済代行業者へ問い合わせることで返金される場合がありますので、まずはそのことを覚えておきましょう。
荷物が届かない原因はいくつか考えられるのですが、特に多いのは住所を誤って登録してしまっていたというパターンです。海外通販サイトは、住所の入力方法が日本とは異なりますので、以下のように英語での住所の書き方を参考に登録してみてください。
名前:山田太郎
住所:〒106-6126 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー Google東京支社
電話:03-6384-9000
First Name |
Taro |
Last Name |
Yamada |
Address1 |
Roppongi |
Address2 |
Roppoongi Hills MoriTower Google Tokyo
※部屋番号は #部屋番号で表記 |
City |
Minato-ku |
State/Province |
Tokyo |
Zip Code |
106-6126 |
Country |
Japan |
Phone Number |
03-6384-9000 |
住所を正しく入力しないと、最悪の場合、荷物が届かないことがあります。筆者は、マンション名を入力し忘れたことがあり、結果的に登録していた携帯電話に宅配業者の方が連絡してくれて、マンション名と部屋番号を直接伝えることができたため、無事荷物が届けられましたが、宅配業者がここまでしてくれない場合もありますので、十分に注意してください。
また、海外から荷物が発送されるときにはそれなりに時間がかかってしまうことも覚悟しましょう。実際のところ、1週間で到着すれば早いほうです。2〜3週間は平気で待たされることになるので、時間に余裕をもつことが大事です。1ヶ月ほど荷物が到着しないことも多々ありますので、目安として1ヶ月は様子をみたほうがいいかもしれません。ただ、荷物を追跡できたり、到着予定日がわかっていて、それでもなお大幅に遅れている場合は、荷物が紛失してしまった可能性があるので、発送先に連絡を入れてください。
最も困るのは、そもそも荷物を発送する気がなく、金銭だけを奪い取られてしまった場合です。簡単に言えば、詐欺に引っかかってしまったことになります。当然、このようなことはあってはならないのですが、実際にありえるので注意しなければなりません。
海外通販サイトを利用するときは、「○○(通販サイトの名称) 使い方」などを検索し、過去に利用したことがある方がいると比較的安心して利用できると判断できるでしょう。評判や知名度の低い通販サイトはなるべく利用しないのが賢明です。
海外通販利用時の為替レート・手数料について
海外通販サイトを利用する際に注意したいのが、「為替レート」と「手数料」です。為替レートは変動性、手数料はカード会社によって設定が異なってくることを覚えておきたいところです。
為替レートの適用は購入日ではなく決済処理日
為替は、お金の取引全般を指しますが、ここでいう為替は、日本円と外国通貨を交換する際に発生する価値の差を解消させる取引=外国為替のことをいいます。例えば、日本円の100円の価値はアメリカの1ドルの価値と常に同じではありません。本記事の寄稿時の外国為替は、1ドルが111円前後、1ユーロが128円前後となっていました。これは日々変動するので、明日にはどうなっているかわかりません。経済が安定しているときは変動が小さく、経済が不安定なときは大きく変動する可能性があります。
海外通販サイトを利用するうえでは、外国為替のレート(交換比率)が鍵を握ってきます。例えば、100ドルの品物を購入しようとしたとき、1ドル100円だと商品代金は10,000円となりますが、1ドル120円だと商品代金は12,000円、1ドル80円なら商品代金は8,000円となります。外国から輸入するときは円高であるほうが品物を安く購入できることになります。ただ、現実的に1日に20円以上の変動が起こることは考えにくいです。あのリーマンショック時でさえ、値幅は7.15↓でした。トランプ大統領就任で値幅4.96↓でしたので、よほど大きな金融事故が起きない限り、大変動は起こらないと覚えておきましょう。
気になるのは、どのタイミングの為替レートが適用されるかです。実は為替レートが適用されるタイミングは、品物の購入日ではなく決済処理日です。つまり、為替レートの適用のタイミングはカード会社に委ねられ、私たちが決定することはできないのです。それでも、「VISA」や「Mastercard」の各サイトから、決済処理日に応じた為替レートをチェックできるようになっています。Bank Feeという欄は「1.63%」で入力してください。この数字については次節で説明しています。
手数料はカードによって異なる
海外通販サイトでクレジットカード決済をするときは、海外旅行と同じように現地でクレジットカードが使われたという認識になりますので、国内で使うときと違って“別の手数料”がかかってきます。その手数料は「海外事務手数料」と呼ばれています。
海外事務手数料は国際ブランドによってかかってくる利率が異なっていて、JCBは1.6%、VISA/Mastercardは1.63%、American Expressは2.0%となっています。
計算方法は商品代金に手数料をかけるだけです。例えば、1ドル100円のときに100ドルの商品をVISAブランドのカードで購入したら、10,000円×1.63%=163円が海外事務手数料となります。手数料がかかるのは嫌なイメージしかないですが、実際にはそこまで大きくかかってくるわけではないので、あまり気にしなくていいでしょう。
DCCとは?
「DCC」はDynamic Currency Conversionの略で、日本語で訳すと「為替変動リスク回避決済」という意味になります。
これまで、日本のクレジットカードを海外で使った場合、決済は日本円で行う必要があったため、実際に利用明細をみるまで請求金額がわからないというデメリットがありました。これでは利用明細を確認するまで不安が拭いきれません。DCCが導入されたことによって、決済に利用する通貨を選べるようになったため、請求金額が決済時にわかるようになったのが大きなメリットです。
DCCの登場によって、よりレートのいい通貨で決済できるようになったことで、私たち消費者にとって大きなメリットになっただけでなく、海外の通販サイト運営者にとっては外国からの売上増に繋がることになり、ウィンウィンの結果となりました。これは昨今のインバウンド対策としても有効で、日本を訪れる外国人のカード決済を促すような結果にもつながっています。
海外通販サイトの決済の流れ
「海外の通販サイトを使ってみたいけど決済までの流れがよくわからない」という意見が意外と多いので、わかりやすく解説してみたいと思います。今後、海外通販サイトを利用しようと考えている方は参考にしてみてください。
おおまかな流れは、海外通販サイトの選定→新規アカウントの作成→住所登録→決済方法の登録→商品を閲覧→商品をカートに入れる→決済画面で送料を確認して決済→発送→受け取りとなります。
各セクションでポイントがありますので、特に大事なポイントを紹介しておきます。まず、海外通販サイトの選定ですが、知名度の高い通販サイトを選ぶことをおすすめします。できれば、「○○(サイト名) 買い方」などと調べて、その通販サイトを使って実際に品物を購入した方がいることを確認できれば安心できます。
北米やヨーロッパなど比較的安心して取引ができる国の通販サイトを選ぶのがおすすめです。中国や韓国あたりは激安サイトがたくさんありますが、到着時に品物が破損していたり、説明書がついてこなかったりと何かとトラブルが多いので、海外通販サイト初心者にはあまりおすすめできません。
住所(Address Book)の英語での登録については、先述した解説を参考にしてください。
決済方法(Payment Methods)の登録についてですが、海外通販サイトを利用する際は基本的にクレジットカードの登録が求められます。クレジットカード表面の14〜16桁の番号と有効期限、契約者名をローマ字で入力します。ローマ字表記はカードの記載通りに入力しましょう。
商品をカートに入れると決済画面に移ることができますが、ここで一点覚えておきたいことがあります。それがブラウザがセキュリティー保護されているかどうかです。当サイトのようにURLが緑色で「https」からはじまっていれば、その画面は保護されていますので、安心して決済できます。サイト全体は「http」で決済画面だけ「https」の場合もあります。送料は通販サイト毎に全く異なっていて、送料無料の場合があれば、送料だけで3,000〜4,000円ほどとられることもよくあるので、必ず確認してから決済してください。
あとは発送→受け取りとなります。通販サイトによってはトラッキングコードで荷物を追跡できるようになっていますので、心配な方は毎日チェックするといいでしょう。場合によっては追跡結果よりも早めに荷物が到着することもあります。
以上が海外通販サイトの決済の大まかな流れとなります。一度覚えてしまえば意外と簡単にできることがわかりますので、まずは一度決済してみることをおすすめします。もちろん、安心できる通販サイトで。
Paypalのススメ
海外通販サイトを使うときに最も怖いのは、「詐欺に遭わないかどうか」ではないでしょうか。クレジットカード決済は非常に便利ですが、「カード情報を盗まれて悪用されるのではないか」と不安に感じる方は多いでしょう。
そこで注目されているのが「Paypal」です。Paypalは、インターネットを利用した決済システムで、カード情報をお店に知られずに決済ができるため、セキュリティー面で非常に高く評価されています。私たち消費者は、まず、Paypalにカード情報や住所などの個人情報を登録し、Paypalを導入したお店でPaypal決済をすることができます。
実はPaypalはクレジットカードよりレートが若干悪いのですが、そこまで大きな差はないこと、セキュリティー面で非常に安心できることを考えると、セキュリティー料を上乗せして払っていると考えれば、決して損をした気分にはならないはずです。
Paypalの魅力は、セキュリティーの高さだけに留まらず、例えば、代金を支払ったのに商品が届かなかった、商品の内容が事前の説明とは異なる、なんて場合に補償をしてくれるので、少額の利用であっても安心して利用することができます。筆者はクレジットカードかPaypalを選べる場合は、迷わずPaypalを選ぶようにしています。
覚えておくと便利な英単語
海外通販サイトも日本の通販サイトと同じような作りになっている場合が多いです。おしゃれなデザインの通販サイトが多いので、若干の使いにくさを感じることもありますが、よく出てくる単語さえ覚えておけば、誰でも簡単に使いこなせるようになります。以下の単語を覚えておくとより快適に使いこなせるようになりますよ!
英語 |
意味 |
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並び替え |
What’s new |
新着順 |
Low to high |
価格が安い順 |
High to low |
価格が高い順 |
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価格帯 |
New arrivals |
新着商品 |
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数量 |
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確認する |
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同意する |
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進む |
Complete |
完了する |
Apply |
適用する |
それでも筆者が海外通販をおすすめする理由
残念ながら、未だに海外通販サイトの利用にはトラブルがつきものです。筆者は過去に海外通販サイトを利用して、荷物がこなかったことがありますし、荷物が破損していたこともあります。しかし、いずれも評判が悪い通販サイトであることは事前にわかっていたので、そういったサイトを利用しなければ避けられたことでありました。トラブルを未然に防ぐために、私たち消費者は通販サイトの良し悪しをしっかりと見極める必要があります。
トラブルへの不安はありますが、それでも筆者が海外通販をおすすめするのは、日本国内で未発売の商品が購入できたり、日本で売られているブランド品を日本で買うよりもずっと安く購入できるからです。一度これらのものを海外通販サイトで買ってしまうと、日本の通販サイトは高く感じてしまい、日本の通販サイトでは日本でしか手に入らないもの、または、すぐに手元に欲しくて発送が早いものしか買わなくなってしまいます。
ただ、いつも海外通販サイトがお得かというとそうではありません。筆者の個人的な感覚だと、1ドル100円を切る場合は海外通販サイトで積極的に購入◎、1ドル100円〜120円は国内通販サイトの価格と比較して良ければ購入○、1ドル120円以上は国内で入手困難な品物のみ購入△、といった感覚で海外通販サイトを利用すると大きな損をせずに買い物ができる感じがしますので、一つの目安にしてみてください。
とにかくまずは経験することが大事です。と言っても詐欺に遭ったり、トラブルに巻き込まれても大きな被害を被らないように、まずは総額5,000円以内で、Paypal決済が可能な海外通販サイトを利用することをおすすめします。