金融問題に詳しくない方でも、リボルビング払い=リボ払いというワードを一度は耳にしたことがあるはずです。リボ払いのイメージを聞いてみると「よくわからないけど危険そう」「お得になるなら使ってみたい」「返済地獄になるから使わない」といった様々な声が聞かれます。
リボ払いを実際に利用したことがないと、それがどのようなものか実態を掴むのが難しいはずです。そこでここでは、リボ払いの仕組みから、メリット・デメリット、注意点についてわかりやすく解説していくことにします。リボ払いの特徴を知ることで、どのように付き合っていけばいいのかがわかってきます。
リボ払いの語源は“Revolution”
リボルビング払い=リボ払いを知るうえで、その語源を知っておくと全容を理解しやすくなります。そもそも、リボ払いの“リボ”がどのような意味なのか知らない人がほとんどのはず。リボは“Revolution”を語源としていると言われています。Revolution=レボリューションには、革命や激変といった意味がありますが、ここでは“回転”の意味で使われてます。
リボ払いは限度額内で繰り返し利用できる返済方法ですが、返済を済ませるとその限度額(信用)が回復することから、“信用の回転”という意味合いがあり、これがRevolution(レボリューション)=リボルビング(リボ払い)の語源になったと言われています。リボ払いはクレジットカードの機能の一つとなりますので、そもそも信用がない方は利用できない機能なのです。
リボ払いと分割払いの違い
リボ払いとよく比較されるのが「分割払い」です。リボ払いと分割払いが一緒だと思われている方が多いですが、正確には異なります。
リボ払いと分割払いの大きな違いは、毎月の支払い額と支払総額です。定額方式のリボ払いの場合、品物をいくら購入しても毎月の支払い額は一定で購入しただけ支払総額が増えます。分割払いの場合、品物を購入するたびに毎月の支払い額と支払総額が増えます。
リボ払いは支払期限を比較的長くとって月々の負担を減らしながら返済するが結果的な負担は増える、分割払いは一つの商品に対して支払い期限を比較的短くとって期限内にきっちり返済する、と覚えておくと混同しにくくなります。
ただし、ここで注意したいのは、リボ払いが定額方式ではなく残高スライド方式だった場合です。残高スライド方式は支払い残高によって毎月の支払い額が増減する返済方法です。カード会社によって異なりますが、支払い残高が10万円未満の場合は毎月の支払い額が5,000円、10〜15万円の場合は7,500円、15〜20万円の場合は10,000円といったように変動する形をとる場合が多いです。
日本と海外のリボ払いの仕組みの違い
リボ払いの仕組み自体は、日本も海外も一緒です。日本は定額方式、定率方式、残高スライド方式の3つが主なリボの仕組みとなっています。
日本と海外のリボ払いで大きく異なるのが、専用カードの存在です。海外では基本的にカード1枚につき返済方法は1つしかありません。つまり、一括払い専用カード、分割払い専用カード、リボ払い専用カードがあるのです。なので、日本のようにカード1枚で一括払いまたは分割払い、リボ払いを選択できるのは非常に珍しいと言われています。
昨今、日本でもリボ払い専用カードが増えてきているのは、カード会社がさらなる利益拡大を目論んでいることが背景にあります。実は、リボ払いによる年率15〜18%の金利収入は大きな収入源となっています。利用者側からしても、会計時に「リボ払いで」と伝えなくて済むなどのメリットがあり、両者にメリットがあることから、リボ払い専用カードが普及しはじめています。
また、「あとからリボ」もよく聞くようになりました。あとからリボは、決済時に選択した一括払いをあとでリボ払いに変更することをいいます。返済が困難な状況を避けられるなどのメリットがあります。その起源は、小切手だと言われており、銀行の事務処理の信頼性が低かった海外では口座の自動引落ではなく、請求額をチェックしてから小切手を使って毎月返済をしていたそうで、返済不能とならないための銀行側の対策として毎月の支払義務金額を設定していました。これをミニマムペイメントといい、今日のリボ払いの仕組みの基盤となりました。
リボ払いのメリット・デメリット
リボ払いはメリットとデメリットどちらが多いのでしょう?メリットとデメリットの両方を知ることで、自分はリボ払いを使っていい人なのかどうかがわかってくるのではないでしょうか。
リボ払いのメリット
毎月の支払い額を抑えられる
リボ払いの最大のメリットは、月々の支払い額を抑えられるところにあります。多くのカード会社のリボ払いは、最低支払義務金額=ミニマムペイメントを設定しており、毎月5,000円程度から返済していくことが可能になっています。
残高スライド方式の場合、支払い残高によってミニマムペイメントは変動していくことになりますが、5,000円・7,500円・10,000円といったように、大きくはこの3段階に分けられることが多いです。ただし、支払い残高が増え続けると、それに合わせて5,000円ずつミニマムペイメントが増加していくのが典型的な残高スライド方式のリボ払いの返済例となります。
ポイント還元の対象となる
リボ払いでも、通常のカード利用時と同じようにポイント還元の対象となります。カード会社によってはリボ払いにすることでポイント還元をアップさせるような施策を実施していることがあるので、場合によってはポイントがたくさん貯まることもあります。
あとからリボ払いに変更できる
決済時に一括払いを指定した場合でも、あとからリボ払いに変更することができます。これを「あとからリボ」と呼びます。例えば、勢いで一括払いにしたはいいがよくよく考えてみたら今月は支払いが多く実は厳しかった、なんてときに一括払いをリボ払いに変更すれば、負担が軽減できます。多くのカード会社では、インターネットからあとからリボへ手続きが可能になっています。
あとからリボを利用することで、返済不能に陥ることを避けられる可能性が出てきますので、信用情報に傷がつきそうなときに利用するのが上手な使い方の一例となってくるでしょう。カード会社によって仕組みが多少異なる場合があるので、利用する際は事前にしっかりと確認しましょう。
リボ払いのデメリット
金利手数料が高いので支払総額が高くなる
リボ払いの金利手数料は年率15.0%〜18.0%のところが多く、これは消費者金融からの借入時と大して変わらないので、月々の支払い額は抑えられても、最終的な支払い“総額”が高くなる可能性が非常に高いです。最初は得をしていた感じがしたが、実際は損をしていたというパターンは非常に多いです。
また、実際にリボ払いを利用する際に自分でしっかりとチェックしておかないと支払い総額がわかりにくい一面があったりするので、リボ払いを検討している方はシミュレーターを使うなどして支払い総額をしっかりと把握しておかなければなりません。
支払いの終わりが見えてこない
リボ払いを利用する方は、その利便性に惹かれ、長期的に利用し続ける傾向が見られます。残高スライド方式のリボ払いの場合、支払い残高が増え続けると、その分、毎月の支払い額が増えるだけでなく、支払い期間が長くなってしまいますので、毎月のようにリボ払いを利用していると、支払いの終わりがなかなか見えてこなくなります。
最初はシミュレーターを使ってしっかりとチェックしていたのに段々と使わなくなってしまう、というパターンは結構多いので、そうならないように慎重に計画的に利用するようにしたいものです。一度リボ払いを利用したら、その利用分を完済するまでリボ払いを利用しない、といった対策が有効になってくるでしょう。本来であれば、リボ払いになるべく頼らないようにしたいものです。
健全なクレヒスの構築につながりにくい
クレヒスとはクレジットヒストリーのことで、信用情報の一つとなります。リボ払いでクレヒスが構築できないわけではないですが、リボ払いは毎月の支払い額を抑える代わりに、利用可能枠を圧迫することになります。利用可能枠が常に上限間近の状態になっていることが判明すると、審査でネガティブな印象を与える可能性が出てきます。
開示報告書(※信用情報機関に請求することで見られます)をみてみると、「残債額」が多く残っており、かつ、「請求額」と「入金額」が5,000円・7,5000円・10,000円というように記載されていると、リボ払いで返済していることがわかります。「残債額」が「限度額」を圧迫している場合にネガティブな印象を与えることを覚えておきましょう。
一部の方は返済不能に陥りやすい
そもそも、リボ払いの利用を考える層は、お金の管理が上手でない人が多いです。一括払いでの利用を考えるのがクレジットカードの基本的な考え方だからです。でも、すべての人がお金を上手に管理できるわけではないので、リボ払いは必要です。そのリボ払いすら、上手に利用できない層が一定数いるのが社会問題となっています。
リボ払いは一括払いに比べ毎月の支払い額を大幅に抑えられますが、抑える代わりに金利手数料を加え、返済を長期的に行うことになりますので、支払い総額は一括払いに比べて多くなり、結果的に返済不能に陥ってしまう方が出てきてしまいます。カード会社として最も避けたいのは、貸し倒れ(返済不能)ですから、そのようなことにならないように利用者は計画性を持ち、カード会社は返済の遅延が起こった際に丁寧な催促を行う必要があります。
リボ払いの注意点
リボ払いは確かに便利な一面があります。しかし、その便利な一面ばかりに目を向けているとのちのち大変な目にあってしまう可能性がありますので、リボ払いの注意点をしっかりと把握したうえで、今後利用していくのか否か決めていくようにしてもらいたいと思います。主な注意点をまとめました。
毎月の支払い額は抑えられるが支払総額は増える可能性あり
先ほどから何度も言っているように、リボ払いは、毎月の支払い額は抑えられますが、最終的な支払総額は増える可能性が非常に高いです。わざと“可能性”という言葉を用いているのは、繰り上げ返済することで一括払いに変更することが可能なので、支払総額が増えない可能性もあるからです。しかし、実際には多くのリボ払い利用者は繰り上げ返済をせずに返済していくため、ほとんどの利用者は支払総額が多くなります。
支払い総額が増えるのは、金利手数料のせいです。年率15.0〜18.0%の金利手数料を加えるかわりに毎月の支払い額が減らせるのがリボ払いの仕組みなので、正直なところ、カード会社にとっては旨味しかありません。リボ払い利用分+金利手数料を受け取れるので、カード会社の大きな利益となります。実際にはお店側から加盟店手数料も受け取ります。
利用明細をチェックする習慣を作りましょう
リボ払いを利用せざるを得ない事情に陥ってしまった方がいるかもしれません。そのような場合、一つの対策として、利用明細を毎月チェックする習慣を作ることをおすすめします。昨今、紙の利用明細書の発行をやめるカード会社が増えているので、自分で利用明細をチェックしないと月々の返済状況が把握しにくくなっています。
アプリで手軽に確認できるようになってきていますので、アプリをインストールして月末または月初めに確認するような習慣を作りましょう。同時にウェブサービスを利用する習慣を作るといいでしょう。ウェブサービスから返済方法や住所変更など様々な手続きが可能になっています。
ポイントキャンペーンに乗せられないことが大事
リボ払い利用者が増えている背景の一つに、カード会社がリボ払いに関するキャンペーンを積極的に行っていることが挙げられます。キャンペーン内容として多いのが、“リボ払いにすることでポイントがもらえる”といったもの。目先のポイント欲しさにリボ払いに変更したはいいが、リボ払いをいまいち理解していなかったなんてパターンが一番最悪です。
リボ払いのキャンペーンに積極的なカード会社が増えてきている背景には、リボ払いによる金利収入がカード会社にとって大きな利益となるからです。そのため、リボ払いを積極的に利用してもらって、会社としての利益を拡大したいという狙いがあります。そこでポイント付与でリボ払いの利用者拡大を促すような形をとるようになってきているのです。
基本的にリボ払いの支払い総額はキャンペーンで付与されたポイント以上となることが多く、結果的に損をしてしまうので、ポイントキャンペーンに乗せられないことが大事です。
経験談:リボ払いは万人におすすめはできない
筆者の経験談から言えるのは、リボ払いは万人におすすめできるものではないということ。かくいう私がリボ払いを理解していなかったときにリボ払いをしてしまい、後悔した過去があるためです。当時、20代前半だった私はお金に余裕がなかったこと、そしてポイントキャンペーンが実施されていたことを理由にリボ払いを選択したことがありました。
当時、どうしてもパソコンが必要で20万円のパソコンを毎月10,000円支払いする形でリボ払いにしました。この内容だと完済に20回かかるので、20ヶ月=1年8ヶ月かけて返済することになります。ここまでは当時も理解できていました。しかし、問題はここからでした。
毎月10,000円ずつの返済に加え、数百円〜2,000円前後の金利手数料が上乗せされて、10,100円前後から12,500円前後を毎月支払うことになることを利用明細書を受け取ってはじめて知ったのです。年率15%の場合、以下のような金利手数料がかかってきます。
※年率15%の場合
回数 |
支払い額 |
金利手数料 |
支払い後残高 |
1 |
12,500円 |
2,500円 |
190,000円 |
2 |
12,375円 |
2,375円 |
180,000円 |
3 |
12,250円 |
2,250円 |
170,000円 |
4 |
12,125円 |
2,125円 |
160,000円 |
5 |
12,000円 |
2,000円 |
150,000円 |
6 |
11,875円 |
1,875円 |
140,000円 |
7 |
11,750円 |
1,750円 |
130,000円 |
8 |
11,625円 |
1,625円 |
120,000円 |
9 |
11,500円 |
1,500円 |
110,000円 |
10 |
11,375円 |
1,375円 |
100,000円 |
11 |
11,250円 |
1,250円 |
90,000円 |
12 |
11,125円 |
1,125円 |
80,000円 |
13 |
11,000円 |
1,000円 |
70,000円 |
14 |
10,875円 |
875円 |
60,000円 |
15 |
10,750円 |
750円 |
50,000円 |
16 |
10,625円 |
625円 |
40,000円 |
17 |
10,500円 |
500円 |
30,000円 |
18 |
10,375円 |
375円 |
20,000円 |
19 |
10,250円 |
250円 |
10,000円 |
20 |
10,125円 |
125円 |
0円 |
本来は金利手数料まで把握した上で利用すべきだったのですが、「大丈夫だろう」と楽観視していて、そこまで深く考えていませんでした。
さらに大きな問題だったのは、クレジットカードの利用に終わりがないことを当時気づけなかったことです。多くの方はリボ払いを利用してそれを完済して終わり、と思っているはずですが、そこには生活があり様々な出費があるため、毎月必然的にクレジットカードを使うことになるわけです。つまり、リボ払いの返済とともに、月々の出費が支出されるわけですから、月々の固定費に毎月10,000円程度が必ずプラスされることになり、これがお金に余裕がなかった私には地味に大きなダメージだったのです。
リボ払いを利用するなら、“ローンで車を購入した”ぐらいの気持ちを持たなければならないかもしれません。車は頭金を用意すれば月々10,000〜20,000円程度で買えますが、ガソリン代や駐車場代がかかりますよね。リボ払いも一緒で月々の固定費と一緒に返済することになるので、実はある程度の余裕がなければリボ払いもそれほど生活の助けになるわけではないのです。
リボ払い検討者は2回払いがおすすめ
今、リボ払いを利用するかどうかで迷っている方は、2回払いを検討してみてはいかがでしょうか。分割払いには手数料がかかるイメージがあるかもしれませんが、実はクレジットカードは2回払いまでは手数料がかからないので、2回払いを選べば、1回払いの半分の負担で済み、短期間で完済することが可能になります。
なぜ2回払いは手数料が無料なのか疑問に思って調べてみたところ、分割払いの定義が“3回以上”であることが所以となっているようです。日本のクレジットカード文化は特殊ケースが多いようで、2回払いやボーナス払いは世界的にみてもかなり珍しい決済方法とのこと。このような特殊性から「ジャパニーズペイメントオプション」というネーミングがつけられ、世界から羨まれているとかいないとか(笑)。いずれにせよ、手数料無料の2回払いがあるということは日本でクレジットカードを使う上で必ず知っておきたいことです。
現在リボ払いをご利用の方へアドバイス
すでにリボ払いをご利用の方もいるでしょう。完済を目指すことが何よりも大事で、そのために今後のクレジットカードの利用を計画的に行うことを第一に考えるのとともに、返済方法の変更を検討してみてはいかがでしょうか。
アドバイスその1:繰り上げ返済に変更する
繰り上げ返済は、期間を繰り上げて返済する方法のことで、「全額返済」もしくは「部分返済」を選ぶことができます。もちろん、おすすめは全額返済です。今は余裕がないけど負担を少しでも減らしたいというのであれば、部分返済でもいいでしょう。繰り上げ返済をすることによって、リボ払いからの解放が着実に近づきます。
昨今、繰り上げ返済は各社のウェブサービスよりインターネット手続きが可能になっていますので、以前よりも手軽に手続きできるようになっています。ただし、カード会社によっては、繰り上げ返済手数料がかかる場合がありますので、事前に確認しておきましょう。
ただ、中には「繰り上げ返済できるほど余裕がない」という方もいるでしょう。そういうときは、両親や親戚を頼りにしましょう。両親や親戚なら、無金利で貸してくれるでしょう。「あんまり良く知らずにリボ払いにしたので、返済の手伝いをしてほしい」などと頼めば、返済の手伝いをきっとしてくれるはずです。もちろん、借りたお金はしっかりと返済しなければなりません。リボ払いで毎月10,000円+金利手数料を返済するのであれば、両親・親戚に毎月10,000円ずつ返済したほうが手数料分を損せずに済むことになりますよね。どちらを選ぶかはあなた次第です。
アドバイスその2:毎月の最低支払い額を変更する
リボ払いは、毎月の支払い額が少ないと金利手数料は増えます。例えば、10万円の品物を年率15.0%のリボ払いで購入した場合、毎月の支払い額が10,000円だと金利手数料は6,875円なのに対し、5,000円だと金利手数料は13,120円と倍近くの手数料をとられる計算となります。
このように毎月の支払い額を抑えると金利手数料が嵩むので、結果的に支払い総額に大きな差が出てしまいます。また、支払い回数が増えることで、支払いの終わりがなかなか見えてこず、計画的な返済が難しくなってきます。少しでも早くリボ払いから解放されたいのであれば、無理のない範囲で毎月の最低支払い額を増やし(例:5,000円から10,000円に変更)、支払い回数を減らすとともに、金利手数料を抑える対策をしていきたいところです。